ASBJ 企業会計基準委員会

企業会計基準等ができるまで

企業会計基準委員会(以下、組織を指す場合に「ASBJ」といいます。委員の名簿はこちら)による企業会計基準等の開発は、公益財団法人財務会計基準機構(以下、「FASF」といいます。)が定める「企業会計基準及び修正国際基準の開発に係る適正手続に関する規則」に(以下、「適正手続規則」といいます。)に従って行われます。以下では企業会計基準等ができるまでの手順について解説します。

1.審議テーマの決定

FASFに設置されている基準諮問会議(委員の名簿はこちら)は、ASBJの審議テーマ、優先順位等、委員会の審議・運営に関する事項について審議し、その審議状況等についてFASFの理事会(理事の名簿はこちら)に報告することになっています。諮問会議は、理事会に報告するもののうち、重要性又は緊急性の高いものについてASBJに提言することになっています。

ASBJは、基準諮問会議から審議テーマ又は優先順位等についての提言を受けた場合、原則として、基準諮問会議の提言を尊重し、審議テーマを決定することになっています。ASBJが基準諮問会議に対し、審議テーマについての検討を要請することもできます。また、緊急性がある等の場合、ASBJの審議において審議テーマを決定することもできます。

2.ASBJが公表する基準等の区分

ASBJが適正手続を経て公表する企業会計基準等は、次の3つに区分して公表されます。

企業会計基準 会計処理及び開示の基本となるルール
企業会計基準適用指針 企業会計基準の解釈や基準を実務に適用するときの指針
実務対応報告 企業会計基準がない分野についての当面の取扱い、緊急性のある分野についての実務上の取扱いなど

3.専門委員会

ASBJは、専門の事項を調査・審議させるために専門委員会を設置しています(専門委員会の一覧はこちら)。専門委員会の委員(専門委員)は、ASBJの委員及び研究員、並びに学識経験者により構成され、専門委員長は専門委員の中から、ASBJの委員長が指名します。

専門委員会の議事は、原則として一般に公開し、傍聴を認めることになっています(専門委員会傍聴のご案内はこちら)が、専門委員長が必要と認めたときは、議事が非公開となることがあります。

4.企業会計基準委員会

ASBJは、原則として毎月、企業会計基準委員会(以下、会合を指す場合に「委員会」といいます。)を開催することになっています。委員会の議事は、原則として一般に公開し、傍聴を認めることになっています(委員会傍聴のご案内はこちら)が、ASBJの委員長が必要と認めたときは、議事が非公開とすることがあります。なお、公開される委員会の議事の録画画像は、一定期間、FASFのウェブサイトで閲覧できるようになっています。また、委員会終了後、審議資料は、公開草案の文案等を除き、原則としてFASFのウェブサイトに公開されます。

企業会計基準等及びそれらに関する公開草案及び論点整理の公表に関しては、委員の5分の3以上の多数をもって議決することになっています。企業会計基準を公表する際、公表に賛成した委員と反対した委員の名前を企業会計基準に記載します。議決に委員が反対した場合、反対した委員の反対理由も記載します。企業会計基準適用指針及び実務対応報告については、出席委員数と賛成委員数を記載します。

委員会における審議中に、特定の項目について暫定合意のための意思確認を行うことがあります。暫定合意は、出席委員の5分の3以上の多数をもって決定することになっています。

5.公開草案等の公表

ASBJは、企業会計基準等の開発において、市場関係者の意見を十分かつ適切に聴取する必要があるとされています。
新規の企業会計基準等の開発及び既存の企業会計基準等の改正を行う場合、原則として、公開草案を公表し、広く一般からの意見を募集することになっています。ただし、重要性が乏しい場合など、ASBJの委員長の判断により、ASBJによる議決を経て、公開草案を公表しないこともあります。また、必要に応じて、公開草案に先立ち、論点整理を公表し、同様に意見の募集を行うことがあります。

公開草案及び論点整理は、原則として2ヶ月以上公開することになっています。ただし、重要性や緊急性を勘案し、ASBJによる議決により、これを短縮することがあります。

公開草案及び論点整理に対して寄せられた意見については、提出者名を含めすべてFASFのウェブサイトに公表されます。寄せられた意見については、ASBJが適時に検討を行い、検討の結果をFASFのウェブサイトに公表します。

企業会計基準等を公表する前に、公開草案を再度公表する必要性があるか否かをASBJが検討することになっています。

6.適用後レビュー

ASBJは、重要と認められる新規の企業会計基準等の開発及び既存の企業会計基準等の改正を行ったときは、投資家、財務諸表作成者、監査人に与えた影響を評価する目的で、適用後レビューを実施することになっています。適用後レビューは、原則として、新規の企業会計基準等が適用された後、2年後から開始することになっています。

ASBJは、適用後レビューの結果、企業会計基準等の改正を行うことがあります。その場合に準拠すべき手続は、新規の企業会計基準等の開発又は既存の企業会計基準等の改正を行う場合と同じ手続になります。

7.適正手続監督委員会への報告

ASBJが基準開発を行う過程において必要とされる適正手続(デュー・プロセスともいいます。)が規定どおりに行われることを監視・監督するため、FASFは適正手続監督委員会を設置しています。

ASBJは、重要と認められる企業会計基準等の公表又は改正の都度、又は適用後レビューの計画又は実施の都度、適正手続監督委員会に対して、適正手続規則の遵守の状況を書面により報告することになっています。また、ASBJは、原則として年1回、適正手続監督委員会に対して、対象年度における適正手続の遵守状況の総括を報告することになっています。

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