ASBJ 企業会計基準委員会

IASB、関連当事者に関する開示の規定を改訂する提案を公表(IAS第24号改訂案)

IASBプレスリリース 2007年2月22日

国際会計基準審議会(IASB)は本日、一般のコメントを募集するために、企業が関連当事者に関する情報を財務諸表に開示することを求めた規定を改訂するための提案を公表した。本提案は、IAS第24号「関連当事者についての開示」に対する改訂案である公開草案に盛り込まれている。

提案されている大きな変更点は、互いに国営又は国に重要な影響を受けているという理由だけで関連があるとされる企業について、IAS第24号の開示規定を減らすことにある。本変更は、このような企業がIAS第24号で要求される情報を入手する際の困難についての関係者から表明された懸念に応えるものである。多くの場合、影響を受ける企業は、他の国営又は国の影響下にある企業と関連していることさえ知らないかもしれない。IASBは、こうした影響を受ける企業にとっては、IAS第24号を遵守するコストの方が、当該企業の財務諸表の利用者への開示の便益を上回る可能性が高いと結論付けた。提案されている免除規定は、関連企業がお互いに影響を与えないことが明確である状況のみに限定される。

本公開草案はまた、関連当事者の定義を明確にし、矛盾を取り除くことを提案している。

本公開草案の紹介として、IASB議長であるDavid Tweedie卿は、次のようにコメントした。

「本提案の目的は、特に事業について国が広範にわたり支配している、又は重要な影響を及ぼすような地域において、一定の企業から開示の大きな負担を取り除くことにある。審議会は、そうした状況においてほとんどあるいは全く価値のない情報を生み出すことを要求する規定を取り除くことで、財務諸表の作成者及び利用者は、財務諸表に影響を及ぼす可能性の高い関連当事者の関係の実態に焦点を当てることができるようになると考えている。我々は、この機会を捉えて、関連当事者の定義を明確にするという妥当な要請にも応えていくつもりである。」

IASBは本公開草案に対して、2007年5月25日までコメントを募集している。

eIFRS購読者は本日から公開草案を入手することができ、2007年3月5日以降、ウェブサイトから無料で入手可能になる。eIFRSの購読希望者は、www.iasb.orgのオンライン・ショップを見るか、又は下記に問い合わせていただきたい。

IASCF Publication Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730,
Fax: +44 (0)20 7332 2749,
Email: publications@iasb.org
Web: www.iasb.org

IAS第24号改訂公開草案「国営企業及び関連当事者の定義」の印刷版(ISBN 978-1-905590-29-2)は、IASCF出版部から£10.00でまもなく購入可能となる予定である。

お問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org

専門的な問い合わせ先

Elizabeth Hickey, Director of Technical Activities, IASB,
Telephone:+44 (0)20 7246 6458,
Email: ehickey@iasb.org

編集者担当者への注釈

本公開草案について

  1. 公開草案は、国に支配されている又は重要な影響を受ける一定の企業の、その他の国営企業又は国により重要な影響を受ける企業との取引に関し、IAS第24号の第17項に定められる開示規定を削除することを提案している。
  2. 以下のような兆候が見られる場合には、関係について適用免除とすべきではないと提案している。
    • 取締役会における共通のメンバーの存在
    • 国による指示又は強制の存在
    • 市場の料率とは異なる料率でビジネスを実行している関連当事者
    • 資源を共有している関連当事者
    • 経済的に重要な取引を実行している関連当事者
  3. 公開草案は、矛盾点を除去し、読みやすくするために、関連当事者の定義を変更し、明確にすることも提案している。定義の主な変更点は以下のとおりである。
    • 同じ企業の子会社と関連会社の間の関係についても関連当事者の定義に含め、当該子会社及び当該関連会社両方の単体又は個別財務諸表にも含める。
    • ある人が一方の企業に対し重要な影響力を有しており、その人の近親者がもう一方の企業に対して重要な影響力を有しているという理由で、2つの企業がお互いに関連することになる状況を、関連当事者の定義から取り除く。審議会は、IAS第24号の定義には、同じ企業の2社の関連会社を、お互いに関連するとして含めないとの結論に至った。したがって、投資者が人及びその人の近親者となる場合にも、同じ結論とすべきである。
    • 一方の企業は主たる経営幹部の一員の投資先で、もう一方の企業は当該経営者が経営している企業であるとする場合の2社の企業については関連当事者の定義に含める。現在、IAS第24号では、主たる経営幹部の投資先が、主たる経営幹部が経営している企業に関連するとしているが、その反対については含まれていない。

IASBについて

国際会計基準審議会(IASB)は、ロンドンに本拠を置き、2001年に活動を開始した。同審議会は、IASC財団の評議員会によって集められる拠出金で運営されている。この拠出金は、世界中の主要会計事務所、民間金融機関及び事業会社、中央銀行及び開発銀行、ならびにその他の国際的専門団体からのものである。 現在の14人の審議会メンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。IASBは、公共の利益のため、一般目的の財務諸表において透明で比較可能な情報を要求する、高品質かつ世界的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、全世界の会計基準の収斂を達成するために各国の会計基準設定主体と協力している。