ASBJ 企業会計基準委員会

IFRIC、不動産販売に関する解釈指針書案を公表(IFRIC解釈指針書案D21号)

 
IASBプレスリリース 2007年7月5日

国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)(*1)は本日、解釈指針書案D21号「不動産販売」を、一般のコメントを募集するために公表した。本提案は2007年10月5日までコメント募集のために公開される。
提案された解釈指針書案は、集合住宅や戸建住宅などのユニットを、「オフプラン」すなわち工事が完成する以前に販売する場合の不動産開発業者の実務を標準化することを目的としている。
不動産開発業者は現在、国際財務報告基準(IFRSs)を様々に解釈しており、ユニットの販売の収益を異なる時期に計上している。ある者は、購入者に完成したユニットを引き渡した時点でのみ収益を計上し、他の者は、工事の進捗に応じて、開発の進捗度を参照して、より早く収益を計上する。

IFRIC解釈指針書案第D21号は、開発業者が「商品」(完成後不動産ユニット)の販売ではなく、実際に工事「サービス」を提供している場合のみ、工事の進捗に応じて収益を計上することを提案している。本指針書案は、売手が工事サービスを提供していることを示す特徴についても提案している。多くの国で現在、こうした特徴が典型的なオフプラン販売契約に存在している傾向はない。
IFRIC解釈指針書案第D21号「不動産販売」は、eIFRS購読者は本日から入手することができ、明日以降IASBウエブサイトから無料で入手可能になる。

以上

お問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な問い合わせ先

Robert Garnett, Chairman, IFRIC
Telephone: +44 (0)20 7246 6410,
Email: rgarnett@iasb.org

Joan Brown, Project Manager, IASB,
Telephone:+44 (0)20 7246 6926,
Email:jbrown@iasb.org

eIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記に問い合わせていただきたい。

IASCF Publication Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730,
Fax: +44 (0)20 7332 2749,
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Web: www.iasb.org

編集者担当者への注釈

IFRIC解釈指針書案 D21号について

  1. 現在実務に見られる相違は、不動産ユニットをオフプランで販売する契約が2つの異なる観点から見られているために生じている。
  2. ある国では、一般的な実務は、当該契約は商品(すなわち完成後不動産ユニット)の販売に対する契約であると考えられている。その場合、IAS第18号「収益」が適用される会計基準である。当該基準を適用することにより、収益は、ユニットの所有権の支配、及びリスク及び経済価値が買手に移転した段階、一般的にはユニットが入居可能となり買手に引き渡される場合にのみ計上される。
  3. 他の国では、一般的な実務は、販売契約を工事契約であると考えられている。その場合、IAS第11号「工事契約」が適用される基準である。当該基準を適用することにより、工事の進捗に応じて、すなわち工事の進捗度を参照して、顧客向け資産の工事に関する収益が計上される。
  4. IFRIC解釈指針案 D21号は、商品(完成後不動産ユニット)の販売とは対照的に、販売契約が、買手の仕様に合わせて工事サービスを提供する契約である場合のみに、IAS第11号を適用基準とすることを提案している。D21号では、IFRICの見解における、売手が買手の仕様に合わせて工事サービスを提供することを示唆するような契約上の特徴をリストアップしている。多くの国で、こうした特徴は、不動産ユニットのオフプラン販売に関する典型的な契約に存在しない傾向にある。本解釈指針書案は、多くのケースにおいて、現在IAS第11号を適用している開発業者に対して、代わりにIAS第18号を適用することを要求することを求める。
  5. 本解釈指針書案はまた、IAS第18号をどのように不動産販売に適用しなければならないかに関するガイダンスも提案している。本ガイダンスは、IAS第18号に付随している現行のガイダンスに取って代わることとなる。現行のガイダンス(IAS第18号に付随しているが正式にはその一部を構成するものではないが)は現在、不明確であり、会計基準書(IAS第18号)そのものの規定と矛盾する方法に解釈できるとみなされている。

IFRICについて

IFRICは、2002年2月に第1回会合を開催した。IFRICは、出身国や職業経験の異なる12人(全員非常勤)の議決権を有する委員で構成され、議決権を有さない議長のもと一年に約6回会議を開催している。IFRICの原則的な役割は、権威ある指針がないことにより異なった取扱いや容認できない取扱いを受ける可能性があるような会計上の問題について、現在のIFRS及びIASBのフレームワークの文脈の中で、適切な会計処理について合意に到達することを目的として、タイムリーに検討することにある。解釈指針の開発にあたり、IFRICは、IFRICと同様の各国の解釈指針委員会と緊密な連携をとって作業を行っている。

IASBについて

国際会計基準審議会(IASB)は、ロンドンに本拠を置き、2001年に活動を開始した。同審議会は、IASC財団の評議会によって集められる拠出金で運営されている。この拠出金は、世界中の主要会計事務所、民間金融機関及び事業会社、中央銀行及び開発銀行、ならびにその他の国際的専門団体からのものである。 現在の14人の審議会メンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。IASBは、公共の利益のため、一般目的の財務諸表において透明で比較可能な情報を要求する、高品質かつ世界的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、全世界の会計基準のコンバージェンスを達成するために各国の会計基準設定主体と協力している。


  1.  IFRICは、国際会計基準審議会(IASB)の解釈機関である。