ASBJ 企業会計基準委員会

IASB、金融商品を報告する際の複雑性の低減に向けた第一段階となるディスカッション・ペーパーを公表する

IASBプレスリリース 2008年3月19日

国際会計基準審議会(IASB)は本日、ディスカッション・ペーパー「金融商品の報告における複雑性の低減」を、コメントを募集するために公表した。

金融商品の報告に対する現行規定は、理解、解釈及び適用が難しいという認識が広まっており、関係者は、IASBに対して原則ベースで複雑性の低い基準の開発を求めてきた。本文書は、IAS第39号「金融商品:認識及び測定」を置き換えることを目的とするプロジェクトの第一段階である。

本ディスカッション・ペーパーは、金融商品の報告における複雑性の主要な原因を分析し、そのうちのいくつかに対処するための、考えられる中間的なアプローチを提案している。それらのアプローチは、現行規定の改定又は置き換えにより測定及びヘッジ会計を改善し簡素化することを目指している。

さらに、本ディスカッション・ペーパーは、金融商品基準の範囲に含まれるすべてのタイプの金融商品に対して単一の測定方法を使用するという、考えられる長期的なアプローチに対する賛成論と反対論を提示している。

IASBは、考えられる長期的なアプローチ及び中間的なアプローチの双方に対して見解を求めており、金融商品の報告について、原則ベースで複雑性の低い新たな基準の開発をどのように進めるべきかに関する考えられる代替案について聞きたいと考えている。

本ディスカッション・ペーパーの公表は、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)との覚書「IFRSと米国会計基準との間のコンバージェンスに対するロードマップ2006-2008」に示された公約を果たすものでもある。本ディスカッション・ペーパーについては、FASBが関係者からコメントを募集する目的での公表を検討する予定である。

本ディスカッション・ペーパーの紹介として、IASB議長であるDavid Tweedie卿は、次のようにコメントした。

「IAS第39号は、IASBがその前身の団体から受け継いだものであるが、あまりにも複雑である。我々は、原則ベースの基準を開発することによりIAS第39号を簡素化し改善する決意である。会計基準の複雑性を低減させることが良いと信じる人々には、今、将来への道を方向づける機会が与えられている。」

IASBは、本ディスカッション・ペーパーに対して、2008年9月19日までコメントを募集する。

本プロジェクトに関するさらなる情報は、金融商品プロジェクトのウェブページを参照いただきたい。
ディスカッション・ペーパー「金融商品の報告における複雑性の低減」は、本日からIASBウェブサイトから無料で入手可能になる。

印刷版(ISBN 978-1-905590-59-9)は、IASCF出版部から£10.00でまもなく購入可能となる予定である。

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30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
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プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB
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Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Gavin Francis, Senior Project Manager, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6901,
Email: gfrancis@iasb.org

Elizabeth Figgie, Project Manager, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6925,
Email: efiggie@iasb.org

編集担当者への注釈

金融商品会計の長期プロジェクトについて

IAS第39号「金融商品:認識及び測定」を置き換えるためのプロジェクトに加え、IASBは、金融商品会計を改善・簡素化するための2つの他の長期プロジェクトを進めている。

負債と資本の区分

本プロジェクトは、資産・負債金融商品(非資本商品)と資本金融商品を区分することにより、IAS第32号「金融商品:表示」の規定を改善することを目的としている。本プロジェクトは、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)による修正共同プロジェクトである。FASBが、リサーチ段階をリードし、2007年11月に予備的見解文書「資本の特徴を有する金融商品」を公表した。2008年2月にIASBは、本トピックについて、コメントを募集するために、ディスカッション・ペーパーを公表した。本ディスカッション・ペーパーの目的は、FASB文書の提案がIASBの審議の出発点として適切であるかどうかについての利害関係者の見解を求めることにある。本ペーパーについては、2008年9月5日までコメントを募集している。

金融商品の認識の中止

審議会がその前身の団体である国際会計基準委員会(IASC)から受け継いでいるIAS第39号の認識の中止の規定は、複雑すぎるという指摘を長年にわたり関係者から受けている。IAS第39号の規定は、米国基準での金融商品の認識の中止に対する規定とも根本的に異なっている。したがって、IASB及びFASBは2005年4月に、IAS第39号及びそれに対応する米国基準の改善となるような、金融資産に当初の焦点を当てた認識の中止についてのアプローチを開発するためのリサーチ・プロジェクトを開始するようスタッフに指示した。両審議会は、スタッフに対して、すべてのタイプの資産に適用するさらに広範な認識の中止の基準を開発することの実行可能性を、リサーチ・プロジェクトの一部として検討することも指示した。

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立されたIASC財団の基準設定機関であり、独立した民間の非営利組織である。IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。その14人のメンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。彼らは、IASC財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、選択し得る最良の組み合わせを選択することが要求されている。