IASB、最初の年次改善プロジェクトを完了
IASBプレスリリース 2008年5月22日
国際会計基準審議会(IASB)は本日、「IFRSの改善-国際財務報告基準(IFRS)改訂集」を公表した。本改訂は、IASBが年次改善プロジェクトで行った提案について到達した結論の結果である。
IASBは、他の主要なプロジェクトの一部に含まれない緊急ではないが必要とされるIFRSの改訂を行う方法として、年次改善プロジェクトを2007年に開始することを決定した。IASBの目的は、改訂を断片的な変更の連作とせずに単一の文書で示すことにより、すべての関係者の負担を軽減することである。本日公表された改訂は、2つの部分に分かれている。
- 表示、認識又は測定に対する会計上の変更を伴う改訂(これらの改訂で影響を受ける基準及び取り扱っている論点の一覧が、以下の注釈に含まれていれる)。
- 会計処理に対する影響が極めて小さい用語又は編集上の変更を内容とする改訂。
別段の規定のある事項を除き、本改訂は2009年1月1日以後に開始する事業年度から適用され、早期適用は認められる。
2007年10月に公表した公開草案に対して受け取ったコメントの審議中に、IASBは、提案事項の一部については、追加的な分析が完了するまで再検討を延期することを決定した。また、IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」を再編する改訂は別個に公表することも決定した。本日公表された改訂には、これらの提案は含まれていない。
eIFRS購読者は本日から「IFRSの改善」を入手することができるeIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。
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印刷版(ISBN 978-1-905590-66-7)は、IASCF出版部から£15.00でまもなく購入可能となる予定である。
プレス関係の問い合わせ先
Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org
Sonja Horn, Communications Adviser, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org
専門的な内容に関する問い合わせ先
Tricia O’Malley, Director of Implementation Activities, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6929,
Email: tomalley@iasb.org
Dora Cheung, Project Manager, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6919,
Email: dcheung@iasb.org
編集担当者への注釈
年次改善プロセスについて
2007年に、IASBは、国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)や、スタッフ又は実務に携わる者からの提案によってもたらされた事項から生じる、緊急ではないIFRSの改訂を扱うための年次のプロセスを導入した。本改善は、IFRS間の矛盾点や、表現の明確化が必要な分野に焦点を当てている。毎年IASBは、年間を通じて生じるIFRSに対する改善の提案について議論や決定を行う。第3又は第4四半期に、集められた提案を一括した公開草案が、一般のコメントを求めるために90日間のコメント期限を設けて公表される。IASBは受領したコメントを検討した後に、最終的な形式による改訂を、翌年の第2四半期に発行し、さらにその翌年の1月1日から発効することを目標とする。
取り扱っているIFRS
以下の表は、表示、認識又は測定目的に対する会計処理の変更となる改訂が行われたIFRS及びこれら改訂で取り扱っているトピックの一覧を示している。
IFRS | 改訂対象 |
---|---|
IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び廃止事業」 | 子会社の支配持分を売却する計画 |
IAS第1号「財務諸表の表示」 | デリバティブの流動/非流動の区分 |
IAS第16号「有形固定資産」 | 回収可能価額 |
貸与のために保有される資産の売却 | |
IAS第19号「従業員給付」 | 縮小及び負の過去勤務費用 |
制度の管理費用 | |
「fall due(支払期日の到来)」という用語の置換え | |
偶発負債についてのガイダンス | |
IAS第20号「政府補助金の会計処理及び政府援助の開示」 | 市場金利以下の利率の政府からの借入金 |
IAS第23号「借入費用」 | 借入費用の構成要素 |
IAS第27号「連結及び個別財務諸表」 | 個別(分離)財務諸表上の売却予定で保有する子会社の測定 |
IAS第28号「関連会社に対する投資」 | 関連会社投資が損益計算書を通じて公正価値で会計処理される場合に要求される開示 |
関連会社投資の減損 | |
IAS第31号「ジョイント・ベンチャーに対する持分」 | 共同支配企業の持分が損益計算書を通じて公正価値で会計処理される場合に要求される開示 |
IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」 | 財務諸表における測定基礎の記述 |
IAS第36号「資産の減損」 | 回収可能価額の決定に用いられた見積りの開示 |
IAS第38号「無形資産」 | 広告宣伝及び販売促進活動 |
生産高比例法による償却 | |
IAS第39号「金融商品:認識及び測定」 | 損益計算書を通じて公正価値で測定する分類への(又はそこから他の分類への)デリバティブの分類変更 |
セグメント・レベルでのヘッジの指定及び文書化 | |
公正価値ヘッジ会計の中止の際に適用される実効金利 | |
IAS第40号「投資不動産」 | 投資不動産として将来使用するために建設中又は開発中の不動産 |
IAS第41号「農業」 | 公正価値算定に対する割引率 |
追加的な生物学的変化 |
国際会計基準審議会(IASB)について
国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立されたIASC財団の基準設定機関であり、独立した民間の非営利組織である。IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。その14人のメンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。彼らは、IASC財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、選択し得る最良の組み合わせを選択することが要求されている。