ASBJ 企業会計基準委員会

IFRIC、不動産の建設に関する契約の明確化を公表する(IFRIC解釈指針書第15号)

IASBプレスリリース 2008年7月3日

国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)(*1)は本日、解釈指針書第15号「不動産の建設に関する契約」を公表した。

本解釈指針書は、集合住宅や戸建住宅などのユニットを、「オフプラン」で(すなわち、工事が完成する前に)販売する場合の不動産開発業者の収益認識に関する会計実務を、法域を越えて標準化することとなる。

本解釈指針書は、不動産の建設に関する契約がIAS第11号「工事契約」又はIAS第18号「収益」のどちらの適用範囲に入るのかをどのように決定するか、及び工事による収益をいつ認識すべきかについてのガイダンスを提供する。

実務で予想される主要な変更は、一部の企業が工事進行基準による収益認識(すなわち、工事の進捗度を参照することにより工事の進捗に応じて)から、一時点での収益認識(すなわち、完成時又は引渡し後)に移行することである。

影響を受けることとなる契約は、主として、現在はIAS第11号に従って会計処理されていて、IFRICの解釈による工事契約の定義を満たさず、建設中の不動産に対する支配並びにその所有に係る重要なリスク及び経済価値が工事の進捗に応じて買手に移転しない契約である。

IFRICは、2007年7月に解釈指針案D21号「不動産販売」をコメント募集のために公開し、それに対する51通のコメントレターを受け取った。再審議において、IFRICは、IAS第11号とIAS第18号との区分を改善し、IAS第18号においてどのように収益を会計処理するかの追加のガイダンスを提供することにより、回答者から示された懸念に対応した。さらに、承認プロセスにおいて、IASBは、IFRICの解釈指針がIAS第18号を支える原則に従っているかを具体的に検討し、IFRICの合意事項に同意した。

IFRIC第15号は、直接又は下請業者を通じて不動産の建設を請け負う企業による収益及び関連する費用の会計処理に適用する。本解釈指針書は、2009年1月1日以降開始する事業年度から発効し、遡及適用される。

IFRIC第15号の紹介として、Robert Garnett IFRIC議長兼IASB理事は、次のように述べた。

「不動産業界は、各国で重要な産業部門であり、特に市場の変動が大きい時には、会計の透明性及び比較可能性が重要である。しかしながら、現在、「オフプラン」契約についての収益の認識に関する会計処理を行う際に、実務に幅広い相違がある。IFRIC第15号は、IAS第11号とIAS第18号の現行の原則を不動産産業での収益認識にどのように適用するかを明確化し、それにより首尾一貫した会計処理を保証する。場合によっては、会社が会計処理を変更しなければならないことを意味することとなる。」

eIFRS購読者は本日からIFRIC第15号「不動産の建設に関する契約」を入手することができるeIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。

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30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
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Email: publications@iasb.org
Web: www.iasb.org

本プロジェクトについてのさらなる情報は、www.iasb.orgのプロジェクトのウェブページ(‘Current Projects/IFRIC projects’ on www.iasb.org)を参照していただきたい。

プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Robert Garnett, Chairman, IFRIC
Telephone: +44 (0)20 7246 6923,
Email: rgarnett@iasb.org

Sebastien Landry, Practice Fellow, IASB,
Telephone:+44 (0)20 7246 6923,
Email: slandry@iasb.org

編集担当者への注釈

IFRIC第15号について

2007年7月に、IFRICはIFRIC D21号「不動産販売」を公表した。本提案は、2007年10月5日までコメント募集のために公開されていた。これに対して、IFRICは51通のコメントレターを受け取った。提起された論点は、IFRICの2008年1月及び3月の会議で再審議された。2008年5月の会議で、IFRICは再審議を完了し、投票を行い、合意事項を確認した。

IFRICについて

IFRICは、2002年2月に第1回会合を開催した。IFRICは、出身国や職業経験の異なる14人(全員非常勤)の議決権を有する委員で構成され、議決権を有さない議長のもと一年に約6回会議を開催している。IFRICの原則的な役割は、権威ある指針がないことにより異なった取扱いや容認できない取扱いを受ける可能性があるような会計上の問題について、現在のIFRS及びIASBのフレームワークの文脈の中で、適切な会計処理について合意に到達することを目的として、タイムリーに検討することにある。解釈指針の開発にあたり、IFRICは、IFRICと同様の各国の解釈指針委員会と緊密な連携をとって作業を行っている。

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は、ロンドンを拠点に、2001年に業務を開始した。評議員会、IASC財団により集められた主要な会計事務所、世界中の民間の金融機関及び事業会社、中央及び開発銀行、及び他の国際的及び専門家組織からの寄付により資金をまかなっている。その14人のメンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。

IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。


  1. IFRICは、国際会計基準審議会(IASB)の解釈指針作成部門である。