ASBJ 企業会計基準委員会

IASB、基準改訂で金融商品の再分類を容認(IAS第39号及びIFRS第7号の改訂)

2008年10月13日

国際会計基準審議会(IASB)は、本日、一部の金融商品の再分類を認めることとなるIAS第39号「金融商品:認識及び測定」及びIFRS第7号「金融商品:開示」の改訂を公表した。今回のIAS第39号の改訂は、国際財務報告基準(IFRS)を適用している会社に対して再分類の可能性を持ち込んでいる。それは、米国会計基準(GAAP)では稀な状況においてすでに認められているものである。

今年の第3四半期中に発生した世界の金融市場の悪化は、本IFRS改訂にいう稀な状況に該当する可能性のある事例であり、したがってこの改訂を即時に公表することを正当化するものである。本日の処置により、IFRSに準拠して報告する会社は、そのように望むのであれば、2008年7月1日から再分類についての改訂を利用できるようになる。

本改訂は、IASBが信用危機に対応するために着手している一連の処置の最新のものである。IASBは、金融安定化フォーラム(FSF)を含む多くの他の地域団体及び国際団体と共に、信用危機に関連する財務報告の問題に対処するために作業を行っている。この危機に対応するに当たり、IASBは、「欧州の金融機関が、会計ルール及びその解釈に関して国際的な競合企業に対して不利にならない」ことを保証したいという、EU 経済財務相理事会(ECOFIN)を通じてEU首脳及び財務大臣から表明された要望に留意した。本日の改訂は、国際的な資本市場の全域で投資家に対する高品質な財務情報を生み出すような方法でIFRSと米国会計基準との差異を縮小させるという要望に対処するものである。

IASBの議長であるDavid Tweedie卿は次のように述べた。

「現在の信用危機という稀な状況に対処するに当たり、IASBは、金融市場に透明性と信頼を回復させることを保証するために緊急の対策を取ることに全力を注いでいる。IASBは、再分類の問題に関してEU首脳等から提起された懸念に対処するために迅速に行動した。我々の対応は、欧州の首脳及び財務大臣の要望に合致したものである。本改訂が、迅速にかつ無修正で使用を認められることが重要である。」

信用危機に対するIASBの対応についてのさらに詳細な情報については、IASBウェブサイトhttp://www.iasb.org/credit+crisis.htmを参照いただきたい。

eIFRS購読者は本日から「金融資産の再分類」(IAS第39号「金融商品:認識及び測定」及びIFRS第7号「金融商品:開示」の改訂)を入手することができるeIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。

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30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
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Web: www.iasb.org

印刷版(ISBN978-1-905590-78-0)は、£10.00(及び郵送料)で、間もなくIASCF出版部から購入可能となる。

プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Gavin Francis, Director of Capital Markets, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6901,
Email: gfrancis@iasb.org

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立された国際会計基準委員会(IASC)財団の基準設定機関であり、独立した民間の非営利組織である。IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。その14人のメンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。彼らは、IASC 財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、選択し得る最良の組み合わせを選択することが要求されている。

付録A

以下の表は、米国会計基準と比較した場合に、本発表に従いIFRSによりどのように再分類が取り扱われるかを示している。

米国会計基準 改訂IAS第39号
稀な状況における、トレーディング・カテゴリーからの有価証券の再分類 容認 容認
予見可能な将来(貸付金)又は満期まで(債券)保有する意図及び能力がある場合の、貸付金カテゴリー(原価基準)への再分類 容認 容認
公正価値オプションを過去に選択した場合の再分類 容認せず 容認せず