ASBJ 企業会計基準委員会

IFRIC、非現金資産の株主への分配に関するガイダンスを公表(IFRIC解釈指針書第17号)

2008年11月27日

 国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)(*1)は本日、非現金資産の株主への分配の会計処理に関する実務を統一する解釈指針書を公表した。

現行の国際財務報告基準(IFRS)は、株主に対する配当が現金以外の資産で分配される場合の測定方法を取り扱っていない。現在、未払配当は、分配される資産の帳簿価額で認識される場合もあれば、公正価値で認識される場合もある。その結果、実務上の大きなばらつきが生じており、IFRICはガイダンスの提供を求められた。

IFRICは、2008年1月に解釈指針書案を公表し、それに対する回答を考慮して本日公表した解釈指針書、IFRIC第17号「非現金資産の株主への分配」を最終決定した。本解釈指針書は、以下を明確化している。

  • 未払配当は、配当が適切に承認され、もはや企業の裁量とならないときに認識されなければならない。
  • 企業は、分配される純資産の公正価値をもって未払配当を測定しなければならない。
  • 企業は、支払われた配当と分配された純資産の帳簿価額との差額を損益に認識しなければならない。  

本解釈指針書は、株主に対する分配のために保有されている純資産が廃止事業の定義を満たす場合、企業が追加開示を提供することも規定している。

 IFRIC第17号は、共通支配下取引を除き、非現金資産の比例按分による分配に適用される。

過去の分配を公正価値で認識することは難しいと考えられることから、IFRICはこのガイダンスを将来に向かって適用することとした。本解釈指針書は、2009年7月1日以後に開始する事業年度から発効する。早期適用は認められる。

eIFRS購読者は本日からIFRIC第17号「非現金資産の株主への分配」を入手することができる。eIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。

IASC Foundation Publications Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
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Web: www.iasb.org

IFRIC第17号についてのより詳細な情報は、www.iasb.orgのプロジェクトのウェブページを参照していただきたい。

プレス関係の問い合わせ先

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先 

Robert Garnett, Chairman, IFRIC
Telephone: +44 (0)20 7246 6923,
Email: rgarnett@iasb.org

Masashi Oki(大木正志), Practice Fellow, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6924,
Email: moki@iasb.org

編集担当者への注釈

IFRICについて

 IFRICは、2002年2月に第1回会合を開催した。IFRICは、出身国や職業経験の異なる14人(全員非常勤)の議決権を有する委員で構成され、議決権を有さない議長のもと一年に約6回会議を開催している。IFRICの主要な役割は、権威ある指針がないことにより異なった取扱いや容認できない取扱いを受ける可能性があるような会計上の問題について、現在のIFRS及びIASBのフレームワークの文脈の中で、適切な会計処理について合意に到達することを目的として、タイムリーに検討することにある。解釈指針の開発にあたりIFRICは、IFRICと同様の各国の解釈指針委員会と緊密な連携をとって作業を行っている。

国際会計基準審議会(IASB)について

 国際会計基準審議会(IASB)は、ロンドンを拠点とし、2001年に業務を開始した。評議員会、すなわちIASC財団により、主要な会計事務所、世界中の民間の金融機関及び事業会社、中央及び開発銀行、並びに他の国際機関及び専門家組織から集められた寄付によって資金をまかなっている。その14人のメンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。 IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは世界中の会計基準のコンバージェンスを目指して各国会計基準設定主体と協力している。


  1. IFRICは、国際会計基準審議会(IASB)の解釈機関である。