ASBJ 企業会計基準委員会

IASBとFASB、収益認識に対する共同のアプローチを提案

2008年12月19日

国際会計基準審議会(IASB)と財務会計基準審議会(FASB)は、本日、一般のコメントを募集するために、収益認識に対する共同のアプローチを示したディスカッション・ペーパーを公表した。

収益は、財務諸表の利用者が会社の業績及び見通しを評価する際の重要な数字である。しかしながら、米国会計基準(GAAP)の収益認識の規定は、国際財務報告基準(IFRS)の規定と異なっており、双方とも改善が必要と考えられている。米国会計基準の規定は、多数の基準で構成されており、多くは各業種に固有のものであり、中には経済的に同様の取引に対して矛盾する結果を生じる可能性があるものもある。IFRSは収益認識に関する基準の数が少ないが、その2つの主要な基準は、異なった原則を持ち、単純な取引以外では理解及び適用が難しい場合がある。

両審議会の目的は、業種にかかわらず一貫して適用可能な単一の収益モデルを開発することにより、IFRSと米国会計基準双方の現行のガイダンスを改善することである。両審議会が提案している基本原則を適用すれば、会社は、契約上合意したとおりに財貨及びサービスを移転することにより履行義務を充足した際に、収益を認識することとなる。この原則は多くの現行規定と同様であり、両審議会は、多くの取引は本提案に影響されないと予想している。しかしながら、原則を明確化し、その原則を顧客とのすべての契約に一貫して適用することで、財務諸表の利用者にとっての収益の比較可能性及び理解可能性を改善することとなる。

本ディスカッション・ペーパーは、提案されているモデルとその結果を説明しており、両審議会がそのモデルをIFRSと米国会計基準双方の基準案へとさらに発展させるのに役立てるために関係者からの意見を求めている。

本ディスカッション・ペーパーのコメントとして、IASB議長David Tweedie卿は次のように述べた。

「さまざまな業種や国々にまたがって一貫して適用される単一の収益モデルは、財務諸表における主要な数字の比較可能性を大きく改善することとなると我々は信じている。我々は、すべての解答を得ているわけではないが、我々が正しい方向性に向かって進んでいるかどうかを知る必要がある。プロジェクトの結果に影響を与えたいならば、今こそ参加する時である。」

FASBのRobert Herz議長は次のように述べた。

「収益認識ガイダンスは、米国会計基準での多数の正式文書のためにますます複雑になっている。両審議会の収益認識プロジェクトは、さまざまな業種にまたがった収益認識に対する明確な原則を提供することにより現行のガイダンスを簡素化することを目的としている。このディスカッション・ペーパーは、その目的を達成するための重要な一歩である。」

本ディスカッション・ペーパーは、2009年6月19日までコメント募集のために公開される。

「顧客との契約についての収益認識に関する予備的見解」は、本日からwww.iasb.orgの’Open for Comment’セクションで入手可能である。eIFRSの購読者は、eIFRSのウェブサイトでも本文書を見ることができる。印刷版(ISBN978-1-905590-95-7)は、IASC財団出版部から包括購読者(Comprehensive subscribers)に送付され、また£10.00(及び郵送料)で、間もなく購入可能となる予定である。eIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。

IASCF Publication Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730,
Fax: +44 (0)20 7332 2749,
Email: publications@iasb.org
Web: www.iasb.org

「顧客との契約についての収益認識に関する予備的見解」は、http://www.fasb.org/draft/index.shtmlでも入手可能である。さらに、どんな個人又は組織も、2009年6月19日まで書面による依頼により無料でFASBからディスカッション・ペーパーを1部入手することができる。FASB Product Code No. DP02を依頼していただきたい。追加及び2009年6月19日以降に適用される価格の情報については、下記にお問い合わせいただきたい。

Order Department,
Financial Accounting Standards Board
401 Merritt 7
PO Box 5116
Norwalk, CT 06856-5116
USA

プレス関係の問い合わせ先 

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

Neal McGarity, Director of Communications, US FASB
Telephone: +1 203 956-5347,
Email: nemcgarity@f-a-f.org

401 Merritt 7, PO Box 5116, Norwalk, Connecticut, 06856-5116, USA

専門的な問い合わせ先

Henry Rees, Senior Project Manager, IASB
Telephone: ++44 (0)20 7246 6466,
Email: hrees@iasb.org

30 Cannon St, London EC4M 6XH, UK
Kenneth Bement, Assistant Project Manager, FASB
Telephone: +1 203 956 5233,
Email: kbbement@fasb.org

401 Merritt 7, PO Box 5116, Norwalk, Connecticut, 06856-5116, USA

国際会計基準審議会(IASB)について  

国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立された国際会計基準委員会(IASC)財団の基準設定機関であり、独立した民間の非営利組織である。IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。その14人のメンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。彼らは、IASC 財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、選択し得る最良の組み合わせを選択することが要求されている。IASBに関する詳細な情報は、ホームページhttp://www.iasb.org/をご参照いただきたい。

米国財務会計基準審議会(FASB)について

FASBは、1973年以来米国における財務会計及び財務報告基準を設定するための民間部門の機関として指定されている。それらの基準は、財務報告書の作成を規定し、証券取引委員会及び米国公認会計士協会により権威のあるものとして正式に認識されている。投資家、債権者、監査人及びその他の人々は、信頼性、透明性、比較可能性のある財務情報を必要とするため、このような基準は、経済の効率的機能にとって不可欠である。FASBに関する詳細な情報は、ホームページhttp://www.fasb.org/をご参照いただきたい。


ディスカッション・ペーパー「顧客との契約における収益認識についての予備的見解」の原文は、IASBのウェブサイトの中の収益認識プロジェクトのページから入手が可能です。

ディスカッション・ペーパー「顧客との契約における収益認識についての予備的見解」の日本語訳は以下よりダウンロードすることが可能です。本訳は、企業会計基準委員会スタッフによる参考のための資料です。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですのであらかじめご了承ください。

「ディスカッション・ペーパー『顧客との契約における収益認識についての予備的見解』」の和訳