ASBJ 企業会計基準委員会

IASB、オフバランスシートリスクの再検討の一環として認識の中止の規定の改善を提案(IAS第39号、IFRS第7号改訂案)

2009年3月31日

国際会計基準審議会(IASB)は、本日、一般からのコメントを募集するために、金融商品の認識の中止規定を改善する提案の公開草案を公表した。 認識の中止とは、企業が財務諸表から金融商品を除外することをいう。 これは、企業がもはや金融商品を支配していない、又は、もはや金融負債を決済する債務を負わない場合に行われる。

またIASBは開示規定の強化も提案しており、特に企業が、本提案の下で認識を中止することとなる金融資産に対して引き続き継続的関与を行う場合についての開示強化を提案している。 追加開示により、利用者がそのような資産に関連するリスクのより良い評価ができることとなる。

本提案は、IASBのオフバランスシート活動の包括的な再検討の一環であり、連結として知られる、どの企業を会社が支配しているかを識別するための規定を強化・改善する2008年12月の提案の公表に続くものである。

報告企業(特に銀行)が、証券化及び他の複雑な金融のアレンジメントを運営するために、特別なストラクチャーを利用していることが、2008年11月にワシントンDCで開催されたG20首脳会議において各国首脳により懸念事項として強調された。 IASBのオフバランスシートリスクの包括的な再検討は、当該懸念に対する対応である。

IASBは、認識の中止及び連結の提案に関してより広範な見解を求めるため、又当該2つのプロジェクト間の相互関係の理解を促進するために、公開円卓会議を開催する意向である。 IASB及び米国財務会計基準審議会(FASB)は、FASBが現行基準の短期的な改訂を完了した後は、それらを共同プロジェクトとするという意向をすでに発表している。

本公開草案の紹介に当たり、IASB議長David Tweedie卿は次のように述べた。

「本プロジェクトは、金融危機が発生する前から我々のアジェンダにあったが、市場の混乱は本件が緊急を要する事柄であることを明らかにし、我々は作業を加速した。 金融の構造はますます複雑かつ高度となっており、企業が資産の認識を中止するべきかどうかを評価するための方法を改善することが必要となってきている。 金融危機は、財務諸表の利用者が、オフバランスになっている資産に関連する残余リスクを理解するためにより良い情報を要求していることも示した。 我々の提案は、これらの懸念に対処するものである。」

IASBは、本提案を紹介する2回のライブのウェブ・プレゼンテーションを主催する。 日程については、間もなくIASBウェブサイトに公表される。 本提案のハイレベルな要約であるIASB ‘Snapshot’も、IASBウェブサイトのプロジェクトセクションから無料でダウンロードが可能になる。

IASBは、公開草案「認識の中止」に対して2009年7月31日までコメントを募集する。 本公開草案は、本日からwww.iasb.orgの‘Open for Comment’セクションで入手可能である。

「認識の中止」(IAS第39号及びIFRS第7号の改訂案)の印刷版(ISBN978-1-907026-04-1)は、IASC財団出版部から£10.00(及び郵送料)で、間もなく購入可能となる予定である。 購読者は、eIFRSsウェブサイトで本文書を見ることもできる。 eIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。

IASC Foundation Publications Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730
Fax +44 (0)20 7332 2749
Email: publications@iasb.org
Web: www.iasb.org

IASBは、回答者のコメントを踏まえて本提案を再検討し、2009年後半にそれを反映したIFRSの改訂を公表する予定である。

プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Gavin Francis, Director of Capital Markets, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6410,
Email: gfrancis@iasb.org

編集担当者への注釈

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立された国際会計基準委員会(IASC)財団の基準設定機関であり、独立した民間の非営利組織である。 IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。 この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる意見募集手続を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。 その14人のメンバー(うち13人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。 彼らは、IASC 財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、評議員会は専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、最良の組み合わせを選択することが要求されている。