ASBJ 企業会計基準委員会

IASB、金融商品会計の改良の第1段階を完了(IFRS第9号)

2009年11月12日

国際会計基準審議会(IASB)は、本日、金融資産の分類及び測定についての新しい国際財務報告基準(IFRS)を公表した。本IFRSの公表は、IAS第39号「金融商品:認識及び測定」を新基準のIFRS第9号「金融商品」に置き換える3部構成のプロジェクトの第1部の完了を示すものである。第2部である金融資産の減損の方法論を取り扱った提案は、11月の初めに、一般のコメントを募集するために公表されたが、第3部であるヘッジ会計に関する提案は、引き続き開発中である。

新基準は、金融資産の会計処理についての投資家や他の財務諸表利用者の理解力を高め、複雑性を低減する。これは、G20の首脳及び他の利害関係者より国際的に承認された目的である。IFRS第9号は、金融資産を償却原価と公正価値のどちらで測定するかを決定するための単一のアプローチを採用し、IAS第39号の多くの異なるルールを置き換えている。IFRS第9号のアプローチは、企業が金融商品を管理する方法(事業モデル)と金融商品の契約上のキャッシュ・フローの特徴を基礎としている。 新基準は、単一の減損方法を用いることを要求し、IAS第39号の多くの異なる減損方法を置き換えている。 このため、IFRS第9号は、比較可能性を改善し、投資家や他の利用者にとって財務諸表を理解しやすくするものである。

IASBは、そのアプローチについて広範な支持を受けた。このことは、2009年7月に公表された公開草案に含まれていた提案を改良するためにIASBが実施した、これまでにない世界規模の協議とアウトリーチ活動の間に明らかになった。アジア、欧州及び米国で円卓会議が開催された。双方向のウェブキャストが、毎回数千人の登録参加者を集め、しばしば週1回の頻度で開催された。さらに、関係者との100回以上の会議が、世界中で過去4か月間に開催された。

協議中にIASBに示された見解は、提起された懸念に対処し、基準を改善するための提案の変更につながった。例えば、IFRS第9号は、個々の資産のすべてについて契約キャッシュ・フローの特徴を検討する必要を避けるために、企業のビジネス・モデルを最初に評価することを要求している。企業の事業モデルが変化した場合には、資産の分類変更を要求している。 IASBは、仕組みクレジット・リンク投資及び投げ売りされた債券の購入について提案されていた会計処理を変更した。IASBは、IFRS第9号の強制適用の発効日と、保険契約に関する新基準の発効日となりそうな日との間のタイミングの不一致により発生する問題について示された懸念にも対処した。

さらに、一部のコメント提出者からの提案に対応して、IASBは、IFRS第9号における金融負債についての定めを確定しないことにした。IASBは、金融負債の分類及び測定についての追加的な検討のプロセスを開始し、2010年中に最終的な定めを公表する予定である。

協議プロセスを通じて受け取ったコメントにIASBがどのように対応したかについて包括的な詳細を提供するフィードバック文書は、http://go.iasb.org/ifrs9feedbackからダウンロードできる

IFRS第9号「金融資産」の強制適用の発効日は、2013年1月1日である。 G20首脳等の要請に合わせて、早期適用は2009年度末の財務諸表について認められる。

IFRS第9号の紹介として、IASB議長のDavid Tweedie卿は次のように述べた。

「我々は、2009年に使用するために金融商品の分類及び測定についての改善された金融商品会計の基準を提供するという、G20や利害関係者に対するコミットメントを果たした。世界中の利害関係者とのこれまでにないレベルの協議の恩恵を得て、IASBは、基準の改善、透明性の強化及び関係者の懸念への対応のため、当初の提案に大きな変更を加えた。」

IFRS第9号「金融商品」は、eIFRS購読者については、本日から入手可能である。 印刷版は、IASCF出版部から£15及び郵送料でまもなく購入可能となる。 eIFRSの購読希望者は、www.iasb.orgのオンライン・ショップ又は下記に問い合わせていただきたい。

IASC Foundation Publications Department,30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730,
Fax: +44 (0)20 7332 2749
Email: publications@iasb.org,
Web: www.iasb.org

プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Gavin Francis, Director of Capital Markets, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6410,
Email: gfrancis@iasb.org

Sue Lloyd, Senior Technical Consultant, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6454,
Email: slloyd@iasb.org

Liz Figgie, Senior Project Manager, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6925,
Email: lfiggie@iasb.org

編集担当者への注釈

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立され、独立した民間の非営利組織である国際会計基準委員会(IASC)財団の基準設定機関である。IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。 15名の常勤のメンバーは、10か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。2012年までに16名のメンバーに拡大される。メンバーは、IASC財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、選択し得る最良の組み合わせを選択することが要求されている。彼らの作業において、評議員会は、公的機関のモニタリング・ボードに対して説明責任を負っている。