ASBJ 企業会計基準委員会

IASB、保険会計の改善を提案

2010年7月30日

国際会計基準審議会(IASB)は、本日、保険契約の会計処理の改善の公開草案を、一般のコメントを募集するために公表した。この公開草案は、すべての保険者が、すべての法域において、すべての契約類型に首尾一貫した基準で適用し得る単一の国際財務報告基準(IFRS)を提案している。

IASBが2001年に設立された時には、保険契約に関する国際的な財務報告の定めはなかった。2004年に、IASBはIFRS第4号「保険契約」を暫定的基準として導入した。これは、既存の国際的な会計慣行の多くを維持することを認めたものであったが、その一方でIASBは、このプロジェクトの第2フェーズとして保険会計のより包括的な検討を開始した。本日公表した提案は、その検討の成果である。

IASBは、ディスカッション・ペーパー「保険契約に関する予備的見解」を公表した際に、公開協議に着手した。本日公表した提案を作成するにあたり、IASBはディスカッション・ペーパーに対して受け取った160通以上のコメントを、広範なアウトリーチ・プログラムを通じて関係者から得たフィードバックとともに検討した。その中には、IASBの保険ワーキング・グループとの対話や作成者との的を絞ったフィールド・テストが含まれている。IASBは、本公開草案のコメント期間中に、フィールド・テストの第2ラウンドも含めた追加的なアウトリーチを実施する。IASBがIFRSを公表する前にすべての関係者の意見を考慮するようにするためである。

本公開草案の紹介として、IASB議長David Tweedie卿は次のように述べた。

「保険会計の根本的な見直しは、予定を大きく過ぎており、現行の実務は最も専門性の高い利用者にしか理解のできない財務情報を生じさせている。
本公開草案の公表は、この見直しのプロセスにおける重要な一歩を印すものである。基準案は保険契約の経済的実質をより良く反映するものであり、目的適合性、信頼性、理解可能性及び比較可能性のより高い情報が投資家に利用可能となるであろう。」

公開草案「保険契約」は、2010年11月30日までコメント募集のために公開され、www.iasb.orgの‘Comment on a proposal’セクションを通じてアクセスできる。

詳細は、IASBウェブサイトの保険セクションでご覧いただきたい。ウェブサイトで入手可能な資料には、IASB理事Warren McGregorによるポッドキャストでの本提案の紹介とともに、本提案のハイレベルのエグゼクティブ・サマリー(スナップショット)が含まれている。

本基準案を紹介するライブのウェブキャストは、8月6日のロンドン時間午前10時に開催され、標準時が異なる関係者の便宜のため同日のロンドン時間午後3時にも開催される。

登録は、http://www.ifrs.org/Meetings/Live+webcast+Insurance+accounting.htm まで。

プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@ifrs.org

Sonja Horn, Communications Manager, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@ifrs.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Peter Clark, Director of Research, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6451,
Email: pclark@ifrs.org

Hans van der Veen, Practice Fellow, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6464,
Email: hvanderveen@ifrs.org

編集担当者への注釈

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は2001年に設立された。独立の民間非営利組織たるIFRS財団の基準設定機関である。IASBは、公益のために、単一の高品質な国際的な会計基準の単一のセットの開発を公約しており、それは一般目的の財務諸表において高品質で透明性があり比較可能な情報を提供するものである。この目的のため、IASBは広範な公開協議を行うとともに世界中の国際機関や各国機関との協力を図っている。IASBには現在、10か国から選出された多様な専門的経歴を有する14名の常勤メンバーがおり、2012年までに16名に拡大される。メンバーはIFRS財団の評議員会が選任し、評議員会への説明責任を負っている。評議員会には、専門的能力と国際的なビジネス及び市場の経験の多様性との最善の利用可能な組合せの選択が求められている。評議員会は、その職務上、各国当局によるモニタリング・ボードへの説明責任を負っている。


公開草案「保険契約」の原文は、IASBのウェブサイトの中の「保険契約」プロジェクトのページから入手が可能です。

公開草案「保険契約」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。