ASBJ 企業会計基準委員会

IASBとFASBがリースの財務報告を改善するための提案を公表

2010年8月17日

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、本日、リース契約の財務報告を改善するための共同提案を一般のコメントを求めるために公表した。本提案は、両審議会の覚書(MoU)に含まれている主要プロジェクトの1つである。本提案は、確認されたならば、リース契約の財務的影響に関して投資家に利用可能な財務報告情報を改善することとなる。

現行の規定による会計処理は、リースの分類しだいである。オペレーティング・リースに分類されると、借手は国際財務報告基準あるいは米国基準(一般に公正妥当と認められた会計原則)のいずれにおいても、財政状態計算書(貸借対照表)に何らの資産も負債も計上しない結果となる。このために、多くの投資家が、借手のオペレーティング・リースの影響を投資分析目的で見積るために、財務諸表を修正(開示その他の利用可能な情報を使用して)しなければならなくなっている。

本提案は、借手と貸手の両方について首尾一貫したリース会計のアプローチ(「使用権」アプローチ)となる。その他の変更の中では、このアプローチは、リース契約から生じる支払に係る負債と原資産を使用する権利とが借手の財政状態計算書に含められ、それにより完全で投資家及び他の財務諸表利用者にとって有用な情報を提供することとなる。

両審議会は、本提案を、2009年3月に公表したディスカッション・ペーパー「リース:予備的見解」に対するコメントの検討後に開発した。本提案を開発する際に、両審議会は、関係者からの広範なインプット(300通以上のコメントを含む)も考慮した。本提案は、公開草案「リース」で示されており、2010年12月15日までコメントを募集し、 www.ifrs.org又はwww.fasb.orgの「提案に対するコメント」のセクションからアクセス可能である。公開草案のコメント期間中に、両審議会は追加的なアウトリーチ活動(公開の円卓会議を含む)を行う。これは、すべての関係者の見解を新基準の完成前に考慮に入れるためである。

本公開草案の紹介として、IASB議長のDavid Tweedie卿は次のように述べた。

リース産業は、会社がキャッシュ・フローと運転資本を管理するのを助けることにより、多くの経済圏で重要な役割を果たしている。しかし、年間6400億ドルと見積られているリース約定の多くが借手の貸借対照表に現れず、このために会社の負債及びギアリング(レバレッジ)について誤った印象を与えている。
我々の提案により、リース契約に関するもっと良くかつ完全な財務報告情報が投資家等に利用可能となるであろう。

FASB議長Bob Herzは次のように述べた。

この提案は、両審議会が会計の重要な領域における基準の改善とコンバージェンスのために行っている前進を継続するものである。本提案はリース会計の透明性の改善とともに現在の複雑性の低減も意図している。リース取引に関わっているすべての関係者に、この重要な提案に関する意見を我々に提供することをお勧めする。

追加的なアウトリーチの一環として、両審議会は、リース会計に関する提案の定めを検討しテストするためのフィールド・ワークに極秘で参加する意思のある企業を募集している。フィールド・ワークの目的は、提案されている新基準の運用可能性並びにコスト及び便益を評価することである。この作業は公開草案のコメント期間中に行われる。志願することに関心のある企業は、2010年9月15日までに、Aida Vatrenjak (avatrenjak@ifrs.org)又はDanielle Helmus (dehelmus@fasb.org) へご連絡いただきたい。

詳細は、IASBウェブサイトのリースのセクションhttp://go.ifrs.org/leases及びFASBのウェブサイトwww.fasb.orgでご覧いただきたい。ウェブサイトで入手可能な資料には、ポッドキャストでの本提案の紹介や本提案のハイレベルのサマリーが含まれている。

IASBは本基準案を紹介するライブのウェブキャストを、8月18日のロンドン時間午前10時30分に開催し、標準時が異なる関係者の便宜のため同日のロンドン時間午後3時30分にも開催する。

登録は、こちらまで。

プレス関係の問い合わせ先 

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6472
Email: mbyatt@ifrs.org

Sonja Horn, Communications Manager, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463
Email: shorn@ifrs.org

編集担当者への注釈

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は2001年に設立されたものであり、独立の民間非営利組織たるIFRS財団の基準設定機関である。IASBは、公益のために、単一の高品質な国際的な会計基準の単一のセットの開発を公約しており、それは一般目的の財務諸表において高品質で透明性があり比較可能な情報を提供するものである。この目的のため、IASBは広範な公開協議を行うとともに世界中の国際機関や各国機関との協力を図っている。IASBには現在、10か国から選出された多様な専門的経歴を有する14名の常勤メンバーがいる。2012年までにIASBは16名に拡大される。メンバーはIFRS財団の評議員会が選任し、評議員会への説明責任を負っている。評議員会には、専門的能力と国際的なビジネス及び市場の経験の多様性との最善の利用可能な組合せの選択が求められている。評議員会は、その職務上、各国当局によるモニタリング・ボードへの説明責任を負っている。

米国財務会計基準審議会(FASB)について

FASBは、1973年以来、米国における財務会計及び報告の基準を設定するための民間部門の指定機関となっている。それらの基準は、財務報告書の作成を規定し、証券取引委員会及び米国公認会計士協会により権威のあるものとして正式に認知されている。こうした基準は経済が効率的に機能するのに不可欠である。投資家、債権者、監査人及びその他の人々が、信用でき、透明で、比較可能性のある財務情報を頼りにしているからである。FASBに関する詳細な情報は、ホームページwww.fasb.orgでご覧いただきたい。


公開草案「リース」の原文は、IASBのウェブサイトの中の「リース」プロジェクトのページから入手が可能です。

公開草案「リース」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。