ASBJ 企業会計基準委員会

IASBがヘッジ会計の改善を提案

2010年12月9日

国際会計基準審議会(IASB)は、本日、ヘッジ活動の会計処理に公開草案を、一般のコメントを求めるために公表した。本公開草案は、企業がリスク管理活動を財務諸表により良く反映できるようにし、それらの活動が将来のキャッシュ・フローに与える影響を投資家が理解するのに役立つような要求事項を提案している。

提案しているモデルは、原則主義であり、ヘッジ会計を企業が財務及び非財務のリスク・エクスポージャーをヘッジする際に行っているリスク管理活動ともっと合致するようにするものである。この提案には、表示の充実と新たな開示要求も含まれている。

この提案へのコメントとして、IASB議長David Tweedie卿は次のように述べた。

「これらの提案は、現行の規則主義で複雑で柔軟性の乏しいヘッジ会計の要求事項を一掃して、単純な原則主義のアプローチに置き換えるものである。
その結果は、もし採用されれば、リスク管理の実務をより良く反映する一方で投資家にさらに有用な情報を提供する、ずっと単純なモデルとなるであろう。」

提案の要約(IASB Snapshot)は下記のSnapshotライブラリーからダウンロードできる。
http://www.ifrs.org/High+level+summaries/snapshot+library.htm

本公開草案は、IASBが2008年3月に公表したディスカッション・ペーパー「金融商品の報告における複雑性の低減」に含まれていた提案を基礎にしている。本公開草案は、IAS第39号「金融商品:認識及び測定」を置き換えるプロジェクトの一部を構成するものであり、その提案が確認されればIFRS第9号「金融商品」に組み込まれることとなる。

公開草案「ヘッジ会計」は、2011年3月9日までコメントを募集しており、 www.iasb.orgの ‘Comment on a proposal’セクション経由でアクセスできる。コメント期間中に、IASBは提案に対する意見を求めるために追加的なアウトリーチを実施する予定である。IASBは、2011年前半に新しいヘッジ会計の要求事項を完成させることを目標に提案の再審議を行う。本公開草案における一般的なヘッジ会計の提案に加えて、IASBはポートフォリオ・マクロヘッジ会計の検討を継続している。

さらに詳細な情報は、IASBウェブサイトのIFRS 9 Financial Instrumentsセクションで入手されたい。
http://go.ifrs.org/IFRS 9 Financial Instruments

編集担当者への注釈

IFRS第9号「金融商品」について

G20等からの緊急問題への対処を求める要望に対応する一方で、金融商品の会計処理の包括的な見直しにも取り組んで、IASBはIFRS第9号「金融商品」を段階的に公表している。2010年10月に完了したフェーズ1では、金融商品の分類及び測定の要求事項を扱った。第2フェーズと第3フェーズでは、金融資産の減損の会計処理とヘッジ会計を扱っている。IASBはそれらのフェーズを2011年に完了し、それによりIAS第39号を置き換えるプロジェクトを完成させることを目指している。

プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Communications, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6472
Email: mbyatt@ifrs.org

Gilliam Bishop, Communications Manager, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6463
Email: gbishop@ifrs.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Sue Lloyd, Director of Capital Markets, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6454
Email: slloyd@ifrs.org

Martin Friendhoff, Technical Principal, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6902
Email: mfriendhoff@ifrs.org

IASBについて

IASBの設立は2001年で、独立の民間非営利組織たるIFRS財団の基準設定機関である。IASBは、公益のため、高品質の国際的な会計基準(一般目的の財務諸表において高品質で透明かつ比較可能な情報を提供する)の単一のセットの開発に取り組んでいる。この目的に向け、IASBは広範な公開協議を行い、世界中の国際機関及び国内機関の協力を求めている。IASBには現在、11か国から選出された多様な職歴をもつ15名の常勤メンバーがおり、2012年までに16名に増員となる。メンバーはIFRS財団の評議員会により選任され、評議員会への説明責任を負う。評議員会に求められているのは、専門的能力と多様な国際的ビジネス及び市場の経験との最善の利用可能な組合せを選択することである。評議員会は、その職務上、当局者のモニタリング・ボードへの説明責任を負っている。


公開草案「ヘッジ会計」の原文は、IASBのウェブサイトの中の「ヘッジ会計」プロジェクトのページから入手が可能です。

  • 公開草案「ヘッジ会計」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。
  • なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

    公開草案「ヘッジ会計」
  • 公開草案「ヘッジ会計」結論の根拠