IASBとFASBが貸借対照表上の相殺の要求を合わせることを提案
―IFRSとUS GAAPの相殺の要求の相違が解消へ―

2011年1月28日

国際会計基準審議会(IASB)と米国の財務会計基準審議会(FASB)は、本日、財政状態計算書(貸借対照表)における金融資産と金融負債相殺について共通のアプローチを確立する提案を公表した。

相殺(ネッティングとも呼ばれる)は、企業が互いに対する権利と義務を財政状態計算書において純額として表示する場合に生じる。

現在、金融資産と金融負債を企業の財政状態計算書において単一の純額(又は2つの総額)として表示できる状況は、企業が国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準(US GAAP)のどちらを用いて報告を行うかにより異なっている。

この会計処理の相違は、IFRS又はUS GAAPに従って作成される財政状態計算書で報告される数字の最大の量的差異の原因となっている。これは財務諸表の比較可能性を損なうものであり、金融機関でのデリバティブ資産とデリバティブ負債の表示において特に顕著である。その結果、財務諸表の利用者と作成者が、それらの項目の相殺に関する共通の解決を見出すことを両審議会に要望していた。共通の解決を提案することは、G20 及び金融安定理事会(FSB)からの要請とも合致している。

両審議会は、相殺を適用するのは、相殺の権利が常に(債務不履行及び破産の場合を含めて)強制可能であり、この権利を行使する能力が条件付きではない(すなわち、将来の事象に左右されない)場合のみとすることを提案している。関係する企業は、受払すべき金額を単一の支払で決済するか又は同時に決済することを意図していなければならない。これらの要求事項のすべてが満たされている場合に、相殺が要求される。本提案は、IFRSとUS GAAPを修正し、いくつかの業界特有のネッティングの実務を廃止することとなる。

IASB議長David Tweedie卿は次のようにコメントした。

「企業がIFRSによる貸借対照表で報告する数字が、場合によっては、US GAAP上の数字の2倍の大きさになる可能性があるという事実は、国際資本市場において受け入れ難いことである。投資家、FSB、G20等が揃って、この問題の解決をIASBとFASBに要請してきた。本提案は相殺の要求の差異をなくすものとなる。」

FASB議長Leslie Seidman氏は次のように述べた。

「本提案は、US GAAPとIFRSにおける金融商品に関する方向の主要な差異をなくすこととなる。投資家は、信用リスクが軽減されている場合には、金融資産及び負債の総額と純額の両方に関する情報への要望を示した。本提案は、US GAAPを変更して、ネッティングを従来よりも狭い状況でのみ要求することとなるが、他の形態の信用緩和の影響を注記で開示することとなる。」

公開草案「金融資産と金融負債の相殺」[FASBでは、「貸借対照表(トピック210):相殺」]は、2011年4月28日まで一般のコメントを募集しており、IASBとFASBのウェブサイトを通じてアクセスできる。協議期間中に、IASBとFASBは本提案に関する意見を求めるための追加的なアウトリーチを行う。

提案の要約(IASB Snapshot)が、ここから入手できる。

追加的な概要を示した“FASB in Focus”がFASBのウェブサイトに掲載される。

編集担当者への注釈

本公開草案は、採用された場合にはIAS第32号「金融商品:表示」の相殺の要求事項を置き換えることになる要求事項を提案している。

プレス関係の問い合わせ先

Gilliam Bishop, Communications Manager, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6463
Email: gbishop@ifrs.org

Neal McGarity, Director of Communications, FASB
Telephone: +1 203 956 5347
Email: nemcgarity@fasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Christian Kusi-Yeboah, Senior Technical Manager, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6931
Email: ckusiyeboah@ifrs.org

Barbara Davidson, Senior Technical Manager, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6907
Email: bdavidson@ifrs.org

Melissa Maroney, Project Manager, FASB
Telephone: +1 203 847 0700
Email: mmaloney@fasb.org

編集担当者への注釈

IASBについて 

IASBの設立は2001年で、独立の民間非営利組織たるIFRS財団の基準設定機関である。IASBは、公益のため、高品質の国際的な会計基準(一般目的の財務諸表において高品質で透明かつ比較可能な情報を提供する)の単一のセットの開発に取り組んでいる。この目的に向け、IASBは広範な公開協議を行い、世界中の国際機関及び国内機関の協力を求めている。IASBには現在、11か国から選出された多様な職歴をもつ15名の常勤メンバーがおり、2012年までに16名に増員となる。メンバーはIFRS財団の評議員会により選任され、評議員会への説明責任を負う。評議員会に求められているのは、専門的能力と多様な国際的ビジネス及び市場の経験との最善の利用可能な組合せを選択することである。評議員会は、その職務上、当局者のモニタリング・ボードへの説明責任を負っている。

米国財務会計基準審議会(FASB)について 

1973年以来、FASBは、米国における財務会計及び財務報告基準を設定するための民間部門の機関として指定されている。それらの基準は、財務報告書の作成を規定し、証券取引委員会及び米国公認会計士協会により権威のあるものとして正式に認知されている。このような基準は経済が効率的に機能するために不可欠である。投資家、債権者、監査人及びその他の人々は、信頼性、透明性、比較可能性のある財務情報を必要としているからである。FASBに関する詳細な情報は、ホームページwww.fasb.orgをご参照いただきたい。


公開草案「金融資産と金融負債の相殺」の原文は、IASBのウェブサイトの中の「資産と負債の相殺」プロジェクトのページから入手が可能です。

公開草案「金融資産と金融負債の相殺」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

公開草案 「金融資産と金融負債の相殺」の和訳

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