ASBJ 企業会計基準委員会

IASBとFASBが収益認識に関する改訂後の提案を公表

 2011年11月14日

国際会計基準審議会(IASB)と財務会計基準審議会(FASB)は、本日、顧客との契約から生じる収益(及び関連するコストの一部)に対する国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準(GAAP)の財務報告の要求事項の改善とコンバージェンスのための、改訂後の基準案を一般のコメントを募集するために公表した。

両審議会は、収益の財務報告がすべての企業にとって重要であることや、最終基準から意図せざる結果が生じることを避けたいという考えにより、提案を再公開することを決定した。

本基準案は、IFRSと米国会計基準を次のことにより改善するものとなる。

  • 収益認識の論点に対処するためのより強固なフレームワークの提供
  • 現行の要求事項の不整合の除去
  • 会社間、業種間及び資本市場間の比較可能性の改善
  • 改善された開示要求を通じての、財務諸表利用者へのより有用な情報の提供
  • 会計処理ガイダンスの簡素化による財務諸表の作成の簡易化

この改訂後の基準案のコアとなる原則は、2010年公開草案と同じである。企業は、顧客との契約から生じる収益を、約束した財又はサービスを顧客に移転する時に認識する。認識する収益の金額は、移転する財又はサービスと交換に顧客が約束した対価の金額となる。しかし、2010年公開草案に対する1000通近くのコメントレター及び広範なアウトリーチ活動から受け取ったフィードバックに対応して、両審議会は当初の提案をさらに精緻化した。

特に、次のことを行った。

  • 財又はサービスが一定の期間にわたって移転されるのはどの場合なのかの判定方法に関するガイダンスを追加
  • 製品保証に関する提案を簡素化
  • 企業が取引価格を算定する方法(回収可能性、貨幣の時間価値、変動性のある対価などを含む)を簡素化
  • 不利テストを長期サービスのみに適用するよう範囲を修正
  • 契約(1年以内の場合)の獲得コストを費用として認識することを企業に認める実務上の便法を追加
  • 米国会計基準を適用する非公開企業に対して一部の開示の免除を提供

本基準案が採用された場合、IAS第18号「収益」、IAS第11号「工事契約」及び関連する解釈指針を置き換えることとなる。米国会計基準では、FASB会計基準コード化体系のトピック605の収益認識に関するガイダンスに取って代わることとなる。

本基準案に関するコメントとして、IASB議長Hans Hoogervorst氏は次のように述べた。

「収益はトップラインであり、すべての事業にとって重要である。我々の提案は、収益が、業種や大陸を超えて首尾一貫した基準で表示されているという信頼をアナリスト及び投資家に与えることになるだろう。」

FASB議長Leslie Seidman氏は次のように述べた。

「収益認識に関するこの改訂後の公開草案は、当初の公開草案と同じ基礎的原則に基づいているが、我々は、受け取ったフィードバックに対応して、ガイダンスのいくつかの側面の簡素化と明確化を行った。この基準案は広範囲の業界にわたる企業に影響を及ぼすことになるので、我々は、最終基準が、最終基準としての公表前に企業・監査人・投資家に十分に理解されるようにするために、この追加的な品質管理の手順を踏んでいる。我々は、コメント期間中に利害関係者との追加のアウトリーチを実施する予定で、これは人々が本ガイダンス案を理解するのに役立てるとともに、残っている懸念を聞くためである。」

公開草案は、2012年3月13日までコメント募集のために公開され、www.ifrs.orgの‘Comment on a proposal’セクション又はwww.fasb.orgを通じてアクセス可能である。追加的な情報は、ポッドキャスト、本提案のハイレベルの要約であるIASB‘Snapshot’と‘FASB In Focus’を含めて、FASBとIASBのウェブサイトで入手可能である。

以上

プレス関係の問い合わせ先

Sonja Lardeau, Communications Manager, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6463, email: slardeau@ifrs.org

Christine Klimek, Senior Manager,
Media Relations & Executive Communications, FASB
Telephone: +1 203 956-3459, email: clklimek@f-a-f.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Glenn Brady, Senior Technical Manager, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6460, email: gbrady@ifrs.org

Kenneth Bement, Project Manager, FASB
Telephone: +1 203 956 5233, email: kbbement@fasb.org

編集担当者への注釈

IASBについて

IASBの設立は2001年で、独立の民間非営利組織たるIFRS財団の基準設定機関である。IASBは、公益のため、高品質の国際的な会計基準(一般目的の財務諸表において高品質で透明かつ比較可能な情報を提供する)の単一のセットの開発に取り組んでいる。この目的に向け、IASBは広範な公開協議を行い、世界中の国際機関及び国内機関の協力を求めている。IASBには現在、11か国から選出された多様な職歴をもつ15名の常勤メンバーがおり、2012年までに16名に増員となる。メンバーはIFRS財団の評議員会により選任され、評議員会への説明責任を負う。評議員会に求められているのは、専門的能力と多様な国際的ビジネス及び市場の経験との最善の利用可能な組合せを選択することである。評議員会は、その職務上、当局者のモニタリング・ボードへの説明責任を負っている。詳細な情報は、ウェブサイトwww.ifrs.orgを参照のこと。

米国財務会計基準審議会(FASB)について

1973年以来、FASBは、米国における財務会計及び財務報告基準を設定するための民間部門の機関として指定されている。それらの基準は、財務報告書の作成を規定し、証券取引委員会及び米国公認会計士協会により権威のあるものとして正式に認知されている。このような基準は経済が効率的に機能するために不可欠である。投資家、債権者、監査人及びその他の人々は、信頼性、透明性、比較可能性のある財務情報を必要としているからである。FASBに関する詳細な情報は、ウェブサイトwww.fasb.orgを参照のこと。