ASBJ 企業会計基準委員会

IASBとFASBが共通の相殺開示要求を公表

2011年12月16日

ロンドン及びコネチカット州ノーウォーク、2011年12月16日 — 国際会計基準審議会(IASB)と財務会計基準審議会(FASB)は、本日、相殺の取決めが企業の財政状態に与える影響又は潜在的影響を、投資者及び他の財務諸表利用者がよりよく評価できるようにするのに役立つことを意図した共通の開示要求を公表した。相殺の適格要件は、国際財務報告基準(IFRS)と米国で一般に認められた会計原則(US GAAP)とで異なっている。

相殺(ネッティングとも呼ばれる)は、財政状態計算書(貸借対照表)における資産と負債の単一の純額としての表示である。IFRSとは異なり、US GAAPでは、相殺の権利が債務不履行及び破産の際にのみ利用可能である場合に、同一の当事者との法的に強制可能なネッティング契約の対象となっているデリバティブを、貸借対照表において純額表示する選択肢を企業に認めている。

IFRSとUS GAAPとの間のこのような差異に対処するため、2011年1月に、IASBとFASBは、US GAAPおいて現行の状況よりも狭めたネッティングの新しい要件を提案した公開草案を公表した。しかし、両審議会のそれぞれの利害関係者からのフィードバックに対応して、両審議会は、既存の相殺モデルを維持し、その代わりに、IFRS又はUS GAAPに従って作成された財務諸表を投資者がよりよく比較できるようにする新しい開示要求を公表することを決定した。

また、共通の開示要求は、差し入れたか又は受け取る関連担保の開示を含め、企業がどのように信用リスクを軽減しているのかについての報告の透明性を改善する。追加的な情報は、本日公表したプロジェクト・サマリー及びフィードバック・ステートメントに含まれている。

IASB議長Hans Hoogervorst氏は、次のように述べた。「これらの開示は、投資者が、IFRSとUS GAAPの相殺の報告の要求事項の差異を埋めるのに役立つであろう。一方、追加的な要求事項は、企業が相殺に関連する信用リスクをどのように軽減しているのかに関して、より良い情報を提供するだろう。とは言え、相殺要求の差異を埋めるために開示を利用するというのは、両審議会にとってのプラン「B」であった。」

FASB議長Leslie F. Seidman氏は、次のように述べた。「拡張された開示は、法的に強制可能なネッティング契約に従って相殺される項目について総額と純額の両方を理解したいと望む投資者から寄せられたフィードバックに対応したものである。また、我々は、これらの契約において、差し入れた担保及び保有する担保に関して拡張した情報も要求している。」

会社及び他の企業は、2013年1月1日以後開始する事業年度、及び当該事業年度の期中期間に本修正を適用することが要求される。要求される開示は、遡及的に提供しなければならない。

IASBは、この修正に関する双方向のウェブキャストを2011年12月19日の10時30分及び15時(グリニッジ標準時)に開催する。登録には、こちらをクリック。

プロジェクト・サマリー及びフィードバック・ステートメントを含めたプロジェクトに関するさらに詳細な情報、並びに本修正を含めたIASBのポッドキャストは、下記のIASBのプロジェクトのウェブサイトからアクセスできる。

http://go.ifrs.org/offsetting

以上

編集担当者への注釈

IFRSの要求事項は「開示-金融資産と金融負債の相殺」の修正(IFRS第7号の修正)において、US GAAPについては会計基準更新書No. 2011-11「貸借対照表(トピック210):資産と負債の相殺に関する開示」において示されている。これらの要求事項は、2013年1月1日以後開始する事業年度、及び当該事業年度の期中期間に適用される。比較可能性を最大化するために遡及適用が要求される。

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IASBについて

IASBの設立は2001年で、独立の民間非営利組織たるIFRS財団の基準設定機関である。IASBは、公益のため、高品質の国際的な会計基準(一般目的の財務諸表において高品質で透明かつ比較可能な情報を提供する)の単一のセットの開発に取り組んでいる。この目的に向け、IASBは広範な公開協議を行い、世界中の国際機関及び国内機関の協力を求めている。IASBには現在、11か国から選出された多様な職歴をもつ15名の常勤メンバーがおり、2012年までに16名に増員となる。メンバーはIFRS財団の評議員会により選任され、評議員会への説明責任を負う。評議員会に求められているのは、専門的能力と多様な国際的ビジネス及び市場の経験との最善の利用可能な組合せを選択することである。評議員会は、その職務上、当局者のモニタリング・ボードへの説明責任を負っている。詳細な情報は、ウェブサイトwww.ifrs.orgを参照のこと。

米国財務会計基準審議会(FASB)について

1973年以来、FASBは、米国における財務会計及び財務報告基準を設定するための民間部門の機関として指定されている。それらの基準は、財務報告書の作成を規定し、証券取引委員会及び米国公認会計士協会により権威のあるものとして正式に認知されている。このような基準は経済が効率的に機能するために不可欠である。投資家、債権者、監査人及びその他の人々は、信頼性、透明性、比較可能性のある財務情報を必要としているからである。FASBに関する詳細な情報は、ウェブサイトwww.fasb.orgを参照のこと。