ASBJ 企業会計基準委員会

IFRS財団のモニタリング・ボード及び評議員会が
 それぞれのガバナンス・レビュー及び戦略レビューの結論を発表

2012年2月9日

IFRS財団のモニタリング・ボードと評議員会は、本日、IFRS財団のガバナンス及び戦略に関するそれぞれ別個のレビューの結論を共同で公表した。

両レビューは、国際財務報告基準(IFRS)が国際的に認められた財務報告の言語となり、100か国以上で企業に要求又は許容されるようになった過去の11年の成果を基礎としたものである。両レビューは、IFRS財団及び国際会計基準審議会(IASB)がグローバルな会計基準設定主体となるという目標へ向けて作業を続けることのできる明確な戦略及び健全なガバナンスの基盤を提案している。

独立するが連携したレビュー

モニタリング・ボードは、主として制度的側面、特にモニタリング・ボード、評議員会及びIASBの構成及びそれぞれの役割及び責任に焦点を置いた広範なレビューを行った。評議員会の戦略レビューでは、第2の10年に入るにあたりその使命、ガバナンス、基準設定プロセス及びIFRS財団の資金調達を検討することにより、当組織の明確な戦略及びビジョンを明示することを図った。

両レビューは独立しているが、2つの機関の別個の責任を認識する連携した形で行われた。モニタリング・ボードと評議員会は、2つのレビューの結論を1つのパッケージとして公表している。それぞれの活動の連携を、高品質のグローバルに認められる財務報告基準の設定という当財団の主要な使命を促進する方法で図りたいという共通の願いを反映するためである。

広範な公開協議

両方のレビューともに、利害関係者との広範でグローバルな公開の協議及び議論を受けた。

モニタリング・ボードは、ガバナンス・レビューを2010年4月に開始した。2011年2月には、協議文書を2か月のコメント期間で公表し、80通のコメント・レターを受け取った。コメント・レターは、求められた質問に対する詳細な回答を提供したのみならず、ガバナンスの取決めに関して広範な提案が行われた。2011年3月にモニタリング・ボードは、一連の公開の利害関係者との会合を、アジア、欧州及び米州で開催した。これらの活動から受け取ったコメントの要約は2011年9月に公表された。

評議員会は、通常の5年ごとの定款見直しの完了後、2010年1月に戦略レビューに着手した。2010年10月に評議員会は、協議文書を2か月のコメント期間で公表した。後にコメント期間は4か月に延長された。評議員会は、5回の公開の円卓会議を開催し、提案に対して約100通のコメント・レターを受け取った。2011年4月に評議員会は、レビューに関する予備的結論を一般のコメントを求めるために公表した。その協議期間は2011年7月に終了した。追加的な公開の円卓会議が、アジア、欧州及び北米で開催された。評議員会は、予備的な結論に対して70通以上のコメント・レターを受け取った。戦略レビューの結論のドラフトは、2012年1月の評議員会会議の傍聴者用資料として公表された。

次のステップ

モニタリング・ボードは改善策を実施するための措置を進め、評議員会は定款の修正を検討するプロセスに着手する。2つの機関は、モニタリング・ボードの報告書に付された行動計画における日程表を参照して、緊密に連携した方法で提案の実施を遂行する。

ガバナンス及び戦略レビューに関するコメントとして、IFRS財団モニタリング・ボードの議長代行の河野正道氏は次のように述べた。

「ガバナンス改善に対するこの共同パッケージは、財団のガバナンスのさまざまな側面を改善するためのモニタリング・ボードと評議員会との間の緊密な連携から生じた素晴らしい成果である。我々は、ここに識別された施策が、現在のガバナンスの仕組みをさらに改善するとともにその遂行の透明性を向上すると確信している。我々は、説明責任の向上が、基準設定主体さらにはIFRSへの利害関係者の信任を通じて反映されることを願っている。2つの機関は、この共同パッケージに含まれる施策の完全な実施のため引き続き緊密に連携していく。」

ガバナンス及び戦略レビューに関するコメントとして、IFRS財団評議員会の議長Michel Prada氏は次のように述べた。

「戦略レビューは、IFRS物語の最初の11年の成功を強固なものにしようとすると同時に、IFRS財団及びIASBがグローバルな会計基準設定主体になるという任務を完了するための確固たる基礎を設定している。

私は、このプロジェクトに関する緊密な連携についてモニタリング・ボードに感謝したいが、私の親しい友人であり評議員会の前任の議長であったTommaso Padoa Schioppa氏の名も挙げておきたい。氏は、自らの開始したレビューの完了前に残念ながら他界された。」


ガバナンス・レビューの文書は、こちらから入手できる

戦略レビューの文書は、こちら入手できる

以上

プレス関係の問い合わせ先

IFRS財団モニタリング・ボード

長岡 隆 (金融庁国際会計調整室長)
Email: t-nagaoka@fsa.go.jp

園田 周 (金融庁企業開示課課長補佐)
Email: makoto.sonoda@fsa.go.jp

IFRS財団

Mark Byatt, Director of Communications and External Affairs
Telephone: +44 (0)20 7246 6472, email: mbyatt@ifrs.org

編集担当者への注釈

IFRSモニタリング・ボードについて

モニタリング・ボードのメンバーは、証券監督者国際機構(IOSCO)の新興市場委員会及び専門委員会、日本の金融庁、欧州委員会、及び米国証券取引委員会(SEC)である。バーゼル銀行監督委員会がオブザーバーとなっている。
モニタリング・ボードを通じて、各法域における財務報告の形態及び内容を設定する責任を有する資本市場規制当局は、投資家保護、市場の公正性及び資本形成に関する責務を、より効果的に果たすことが可能となる。

IFRS財団について

IFRS財団は、国際会計基準審議会(IASB)の監督機関である。財団は、IASBを通じて、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を要求する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットの開発に取り組んでいる。
IFRS 財団の評議員会は、国際会計基準審議会(IASB)の作業とIFRS の厳格な適用を推進しているが、基準に関する技術的事項の決定には関与していない。その責任はIASBのみに委ねられている。
評議員は再任可能な3年の任期で任命される。アジア・オセアニア地域から6名、ヨーロッパから6名、北米から6名、アフリカから1名、南米から1名、世界の残りの地域から2名が選任される。