2013年3月7日
国際会計基準審議会(IASB)は、本日、金融商品の減損に関する提案の改訂版を一般のコメントを求めるため公表した。本提案は、より将来予測的な引当モデルを開発するための従前の作業を基礎としたものであり、予想信用損失をより適時に認識するものである。
財務報告の要求事項は、国際的にも米国でもともに、現在、金融商品に係る減損をどのような場合に認識するのかを決定するために発生損失モデルを使用している。発生損失モデルでは、損失事象が発生してから引当金を計上することを要求している。これは、投資者への財務業績の正確な報告を歪めていたいわゆる「ビッグバス」の一般引当の使用を避けるために導入されたものであった。しかし、金融危機の間に、発生損失モデルは、損失の認識を遅らせており、発生すると予想される信用損失を正確に反映していないとして批判を受けた。
G20、金融危機諮問グループ(*1)(FCAG)などからの要請に合わせて、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)は、予想信用損失を反映する、より将来予測的な減損モデルを開発するために共同で作業を行ってきた。本日公表した提案は、IASBとFASBとの間で以前に合意した予想信用損失モデルを基礎としたものであるが、利害関係者から受け取ったフィードバックを反映して簡素化されている。FASBは、代替的な予想信用損失モデルを一般のコメントを求めるため別個に公表しており、両提案のコメント期間には重複する部分がある。
IASBのモデルは、信用損失をより適時に認識するよう設計されている。予想信用損失は、本提案の範囲に含まれるすべての金融商品について、組成時又は購入時から認識される。
全期間の予想信用損失は、金融商品の信用度が著しく悪化した場合に認識される。これは現在の発生損失モデル(実務上、金融資産が債務不履行に近づいた場合にのみ引当金が計上される)の場合よりも著しく低い閾値である。
IASB議長Hans Hoogervorst氏は次のように述べた。
「我々の提案は、当初FASBと共同で開発した予想信用損失アプローチを簡素化したものである。我々は、本モデルにより信用損失がより適時に認識されることになると考えている。同時に、損失の過度な前倒しを避けるものでもある。我々は損失の過度な前倒しは経済的実態を適切に反映しないと考えている。
我々は、この提案に関するフィードバックを受け取り、G20の繰り返しの要請に合わせて、この重要なプロジェクトを速やかに最終確定することを望んでいる。」
公開草案「金融商品:予想信用損失」は、120日間の公開協議の対象となり、コメント期間は2013年7月5日に終了する。
以上
Chris Welsh, Communications Manager, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6495
Email: cwelsh@ifrs.org
Mark Byatt, Director of Communications and External Affairs, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6472
Email: mbyatt@ifrs.org
公開草案「金融商品:予想信用損失」の原文は、IASBのウェブサイトの中の「金融商品―フェーズⅡ:金融資産の償却原価と減損」プロジェクトから入手が可能です。
公開草案「金融商品:予想信用損失」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。
なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。