ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが料金規制に関する提案を公表

2013年4月25日

国際会計基準審議会(IASB)は、本日、再開した料金規制対象活動の調査研究プロジェクトの一環として公開草案「規制繰延勘定」を一般のコメントを求めるため公表した。

国際財務報告基準(IFRS)を適用している多くの法域には、運輸や公益事業セクターなど料金規制の対象となる産業セクターがある。料金規制は、企業の収益の時期及び金額に重大な影響を与える可能性がある。既存のIFRSでは料金規制対象活動について具体的なガイダンスを提供していない。

アジェンダ協議からのフィードバックへの対応として、IASBは、料金規制対象活動について具体的なガイダンスを開発すべきかどうか、また、その場合に、料金規制の影響に関してどのような情報が財務諸表利用者にとって最も有用となるのかを検討するプロジェクトに着手した。この段階で、IASBは、企業が料金規制事業について整備している現在の会計方針を、比較可能性を高めるように設計された若干の修正により維持できるとする暫定基準を提案している。本提案は、2013年9月4日までコメントを求めている。

本公開草案の公表に関するコメントとして、IASBの副議長Ian Mackintosh氏は次のように述べた。

「これは、大規模な料金規制対象企業がある多くの法域にとって重要なプロジェクトである。多くのさまざまな料金規制モデルが世界中で使用されているため、このプロジェクトの完了には多少の時間を要する。したがって、我々は、IASBの包括的な料金規制対象活動プロジェクトを通じてガイダンスが開発されるまで、料金規制対象活動を有する企業による財務報告の比較可能性を高めるための暫定的措置を提案している。」

以上

お問い合わせ先

Chris Welsh, Communications Manager, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6495
Email: cwelsh@ifrs.org

Mark Byatt, Director of Communications and External Affairs, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6472
Email: mbyatt@ifrs.org

国際会計基準審議会(IASB)について

IASBの設立は2001年で、独立の民間非営利組織たるIFRS財団の基準設定機関である。IASBは、公益のため、高品質の国際的な会計基準(一般目的の財務諸表において高品質で透明かつ比較可能な情報を提供する)の単一のセットの開発に取り組んでいる。この目的に向け、IASBは広範な公開協議を行い、世界中の国際機関及び国内機関の協力を求めている。IASBには11か国から選出された多様な職歴をもつ16名の常勤メンバーがいる。ボードメンバーはIFRS財団の評議員会により選任され、評議員会への説明責任を負う。評議員会に求められているのは、専門的能力と多様な国際的ビジネス及び市場の経験との最善の利用可能な組合せを選択することである。評議員会は、その職務上、当局者のモニタリング・ボードへの説明責任を負っている。

料金規制について

料金規制は、サービス又は製品について顧客に課すことのできる価格の設定における制約である。一般的に、企業が市場での独占的又は支配的な地位を有していることにより当該企業が過大な市場支配力を得ている場合に、規制機関又は政府が課すものである。 

料金規制対象活動の調査研究プロジェクトの目的は、ディスカッション・ペーパーを開発することである。これは、料金規制対象でない事業についてIFRSに従ってすでに認識されている資産又は負債に加えて料金規制が資産又は負債を創出するのかどうかを検討するためのものである。資産又は負債が創出されるとした場合には、本プロジェクトでは、そうした資産及び負債をどのように会計処理すべきなのか、その結果IFRSを修正すべきなのか(又はどのように修正すべきなのか)も検討することになる。

料金規制は広範囲であり、料金規制対象企業の経済環境に著しい影響を与える。一部の国内GAAPではこの事項に関する具体的なガイダンスを設けているが、IFRSにはそれに相当するガイダンスがない。したがって、料金規制の影響を認識するためにIFRSを修正すべきかどうか、修正すべきだとすれば、どのように修正すべきなのかを決定することは重要である。


公開草案「規制繰延勘定」の原文は、IASBのウェブサイトの中のComment on a proposalから入手が可能です。

公開草案「規制繰延勘定」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

IASB公開草案「規制繰延勘定」の和訳