ASBJ 企業会計基準委員会

IASBとFASBが、リース会計の変更を提案

2013年5月16日

国際会計基準審議会(IASB)と財務会計基準審議会(FASB)は、本日、リースの会計処理の変更案を示した改訂公開草案を一般のコメントを求めるため公表した。本提案は、透明性の向上により財務報告の質と比較可能性を改善することを目指すものであり、これは、透明性をレバレッジ、組織が事業の中で使用する資産、組織がリース取引の締結により晒されているリスクに関して高めることによるものである。

リースは、多くの組織にとって重要な活動である。現行の会計基準では、リースの大多数が借手の貸借対照表で報告されていない。それに関わる金額は多額である可能性がある。さらに、現行のリースに関する会計モデルは、借手と貸手がリースをファイナンス・リース(例えば、経済的耐用年数のほぼ全部に係る設備のリース)又はオペレーティング・リース(例えば、10年間のオフィススペースのリース)のいずれかに分類し、これらのリースを異なる方法で会計処理することを要求している。

ファイナンス・リースについては、借手はリース資産及び負債を貸借対照表に認識している。オペレーティング・リースについては、借手はリース資産又は負債を貸借対照表に認識していない。現行の基準は、リース取引の忠実な表現を必ずしも提供していないため財務諸表利用者のニーズを満たしていないとして批判されてきた。

この批判に対応して、2006年にIASBとFASBは、国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準(US GAAP)でのリース活動の財務報告を改善するための共同プロジェクトに着手した。

両審議会は、リースにより創出される権利及び義務について借手が資産及び負債を認識することを要求するリース会計のアプローチを開発した。借手は、12か月超のリースについて資産及び負債を認識することになる。

利害関係者は、両審議会に、さまざまな経済実態を有する多様なリース取引があると伝えた。それらのさまざまな経済実態をより適切に反映するために、本改訂公開草案は、リースから生じる費用及びキャッシュ・フローの認識、測定及び表示について二本立てのアプローチを提案している。大半の不動産について、借手は定額のリース費用を損益計算書に報告することになる。他の大部分のリース(設備又は輸送機器など)について、借手は、リース負債に係る利息を資産の償却と区分して報告することになる。また、両審議会は、リースから生じるキャッシュ・フローの金額、時期及び不確実性を投資者及び他の財務諸表利用者が理解できるようにする開示を提案している。

リース・プロジェクトは、FASBとIASBとの間でコンバージェンスした取組みである。両組織の改訂公開草案は、ほぼ同一である。2つの提案の相違点は主として、US GAAPとIFRSとの現行の相違及びFASBが未公開企業に関連して行った決定に関連するものである。

また、両審議会は、設備及び輸送機器の貸手がオフバランスとなっているリースを会計処理する方法の変更も提案している。これらの変更により、このような貸手の信用リスク及び資産リスクへのエクスポージャーに関する透明性を高めることになる。

利害関係者は、本改訂公開草案をレビューし、これに関するフィードバックを2013年9月13日までに提供することが推奨される。

5月20日(月曜日)に、IASBは、生放送ウェブキャストを英国時間(BST)の08:30から開催する。ウェブキャストには、IASBメンバーのDarrel Scott氏及びIASBスタッフメンバーが出演し、提案について説明し、視聴者からの質問に回答する。追加的情報は、登録方法に関する詳細を含め、こちらで入手できる。

2回目のウェブキャスト(FASBとIASBが共同で開催)は、5月20日(月曜日)の英国時間(BST)の15:30から開催される。ウェブキャストには、FASBメンバーRussell Golden氏、IASBメンバーDarrel Scott氏、及びFASBとIASBのスタッフメンバーが出演する。追加的情報は、登録方法に関する詳細を含め、こちらで入手できる。

追加的情報(改訂公開草案を含む)については、IASBのウェブサイトFASBのウェブサイトで入手できる。

IASB議長Hans Hoogervorst氏は次のように述べた。「リースに関する改善された基準の開発は不可欠である。現在、投資者は、リースから生じた隠れたレバレッジを算定するため、経験に基づく推測を行わなければならず、これを行うのに、財務諸表における基本的な開示を使用して、恣意的な倍率を適用している。リースに関連する負債の推測をアナリスト等に期待することが投資者の最善の利益ではないことは明らかである。本改訂公開草案で示した提案は、この領域における財務報告の質と比較可能性の改善へ向けての大きな前進となる。」

FASB議長Leslie Seidman氏は次のように述べた。「FASBとIASBは協力して、現在のリースの会計処理と開示の不備に対処するために、コンバージェンスした改訂案を開発してきた。本提案は、リースは貸借対照表に計上すべき負債であるという投資者の見解に対応している。両審議会は、関係者から寄せられたフィードバックに対応して、損益計算書とキャッシュ・フローの目的上、異なる種類のリースを区別するように当初の提案を改訂した。」

以上

お問い合わせ先

Chris Welsh, Communications Manager, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6495
Email: cwelsh@ifrs.org

Mark Byatt, Director of Communications and External Affairs, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6472
Email: mbyatt@ifrs.org

Robert W. Stewart, Vice President, Communications, Financial Accounting Foundation
Telephone: 203.956.3451
Email: rwstewart@f-a-f.org