ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが、企業集団内での合併・買収の考え得る新たな会計処理の要求事項について公開協議

2020年11月30日

国際会計基準審議会(当審議会)は本日、同じグループ内の会社が関わる合併・買収(すなわち、共通支配下の企業結合)の考え得る新たな会計処理の要求事項についての公開協議を開始した。

IFRS第3号「企業結合」は、合併・買収(IFRS基準では企業結合と呼んでいる)についての報告の要求事項を示している。しかし、当該基準は、同じグループ内の会社間での事業の移転を伴う取引をどのように報告するのかを定めていない。そうした取引は、世界中の多くの国々で一般的である。

IFRS基準におけるこの空白の結果として、企業は類似した企業結合を異なる方法で報告している。被取得企業に関する公正価値情報を提供している場合もあれば、簿価情報を提供している場合もある。さらに、簿価情報はさまざまな方法で提供されており、不十分であることが多い。この実務の不統一により、投資者が、こうした取引がそれを行う企業に与える影響を理解することや、類似した取引を行う企業を比較することが困難になっている。

ディスカッション・ペーパー「共通支配下の企業結合」は、IFRS基準におけるこの空白をどのように埋めるのかについての当審議会の予備的見解を示している。当審議会の目的は、実務の不統一を軽減し、これらの取引の報告における透明性と比較可能性を改善することである。

当審議会の見解は、投資者にとっての情報の便益が情報提供のコストを上回る場合には、企業は類似した企業結合について類似した情報を提供すべきであるというものである。具体的には、当審議会は、共通支配下の企業結合がグループ外の株主に影響を与える場合には公正価値情報を提供すべきであると提案している。この提案は、関連のない企業間での合併・買収についてのIFRS第3号の既存の要求事項と整合的である。他のすべての場合において、当審議会は、簿価情報をIFRS基準において定める単一のアプローチを用いて提供すべきであると提案している。

本ディスカッション・ペーパーは、それぞれのアプローチをどのような場合にどのように適用すべきかについての当審議会の予備的見解に対するフィードバックを求めている。

国際会計基準審議会のハンス・フーガーホースト議長は、次のように述べた。

「利害関係者は、共通支配下の企業が関わる企業結合についての要求事項を、特に上場会社又は上場準備中の会社に関して、設定することの必要性を主張してきた。我々の提案しているアプローチは、企業に不必要なコストを課すことなく、投資者が必要とする情報を投資者に与えるであろう。」

ディスカッション・ペーパー「共通支配下の企業結合」へのアクセスはこちら。コメント期限は2021年9月1日である。

当審議会のプロジェクトに関するファクトシート、及びディスカッション・ペーパーのより詳細な要約を提供しているスナップショットもご覧いただきたい。

ディスカッション・ペーパーに示した当審議会の予備的見解を紹介している短編ビデオはこちら

以 上


ディスカッション・ペーパー「共通支配下の企業結合」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

ディスカッション・ペーパー「共通支配下の企業結合」