ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが、財務諸表注記におけるコミュニケーションを改善するための道を開く新しいアプローチを提案

2021年3月25日

国際会計基準審議会(当審議会)は、IFRS基準における開示要求の開発に対する新しいアプローチ並びに公正価値測定及び従業員給付に関する基準のための新たな開示要求について一般のコメントを求めている。これらの提案は、企業が判断を拡充して「決まり文句」の情報を削減することを可能にし、より有用な情報を投資者に与えるであろう。

財務諸表における注記は、目的適合性のある情報が少なすぎたり、目的適合性のない情報が多すぎたり、情報が効果的に開示されていなかったりする場合がある。利害関係者は、これは通常、効果的な判断が適用されずにIFRS基準の要求事項がチェックリストのように扱われている場合に生じると述べている。

これらの問題への対処における当審議会の支援を求める利害関係者の要望に対応して、当審議会はIFRS基準における開示要求の開発に対する新しいアプローチを示している。このアプローチを使用して開発される開示要求は、企業や監査人等がより効果的な重要性の判断を行うことを可能にし、投資者に対してより有用な開示を提供することが意図されている。

新しいアプローチは、当審議会が個々の基準書における開示要求を開発する際に使用するためのガイダンス案として書かれている。このガイダンスを適用するにあたり、当審議会は次のことを目的としている。

  • 投資者の関与を増大させて、当審議会が投資者の情報ニーズを深く理解し、それらのニーズを基準書において明確に説明するようにする。
  • 開示要求の目的をもっと目立たせるようにし、企業が判断を適用して記述された投資者のニーズを満たすための情報を提供することを要求する。
  • 具体的な情報を開示する要求事項を最小限にし、その代わりに、企業が重要性がある情報のみを開示することに焦点を当てるのに役立てる。

当審議会は、この新しいアプローチを2つのIFRS基準書(IFRS第13号「公正価値測定」及びIAS第19号「従業員給付」)を使ってテストし、本公開草案において、それらの基準書における開示要求の修正案を提案した。

当審議会は、開示要求の開発に対する新しいアプローチの提案並びにIFRS第13号及びIAS第19号の修正案が、企業等が開示される情報の有用性を改善するのに役立つかどうかについて、利害関係者のフィードバックを求めている。

当審議会のハンス・フーガーホースト議長は次のように述べた。

「我々は、IFRS基準における開示要求の開発に対するこの新しいアプローチが、投資者への情報の改善への触媒として役立つことができると考えている。しかし、真の改善は、すべての関係者(企業、監査人、規制当局及び投資者)が協力する場合にのみ達成できる。」

公開草案「IFRS基準における開示要求-試験的アプローチ」、結論の根拠及び設例には、コメントレターのページでアクセスされたい。当審議会は利害関係者のコメントを2022年1月12日まで求めている(2021年10月21日から延長)。

提案の概要を示すスナップショットへのアクセスはこちら。提案を紹介する短編ビデオもある。

当審議会は、この提案を「開示に関する取組み-的を絞った基準レベルの開示のレビュー」のプロジェクトの一環として開発した。このプロジェクトは、財務報告におけるコミュニケーションの改善というテーマでの当審議会の作業の一環であり、財務諸表における開示の改善を目指すいくつかのプロジェクトのうちの1つである。

以 上


公開草案「IFRS基準における開示要求-試験的アプローチ」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

公開草案「IFRS基準における開示要求-試験的アプローチ」(IFRS第13号及びIAS第19号の修正案)

公開草案「IFRS基準における開示要求-試験的アプローチ」(IFRS第13号及びIAS第19号の修正案)に関する結論の根拠