IASBが国際的な税制改革への企業の対応を助けるために税金の会計処理の要求事項を修正
2023年5月23日
国際会計基準審議会(IASB)は本日、IAS第12号「法人所得税」の修正を公表した。この修正は、経済協力開発機構(OECD)の国際的な税制改革から生じる繰延税金の会計処理からの一時的な救済措置を企業に与えている。
OECDは、大規模な多国籍企業が最低限の15%の税率に服することを確保するために、第2の柱モデルルールを2021年12月に公表した。世界のGDPの90%以上を占める135以上の国及び法域が、第2の柱モデルルールに同意している。
IASBは、当該ルールの導入から生じる繰延税金の会計処理に関する不確実性に関しての利害関係者の懸念に対応するために緊急の措置を取った。
当該修正は次のものを導入する。
- 一時的な例外 ― 当該国際的税務ルールの各法域での導入から生じる繰延税金の会計処理に対するもの。これは、ルールの導入を慎重に行いながら財務諸表における一貫性を確保することに役立つ。
- 的を絞った開示要求 ― 改革から生じる法人所得税に対する企業のエクスポージャー(特に当該ルールを導入する法制の発効前)を投資者がよりよく理解するのに役立てるため。
企業はこの一時的な例外から直ちに便益を得ることができるが、2023年1月1日以後開始する事業年度について投資者に開示を提供することを要求される。
アンドレアス・バーコウIASB議長は次のように述べた。
「これらの修正は、利害関係者のフィードバックに対応しており、企業が国際的な税制改革の影響をどのように受けるのかに関して投資者に提供される財務情報を拡充しながら、OECDのルールの導入中に企業が支援されることを確保する。」
「我々は、各法域が第2の柱モデルルールを導入する中での進展をモニタリングしている。将来の維持管理プロジェクトがパイプラインに追加されており、そこで一時的な例外及び関連する開示の再検討を行う。」
パイプラインに追加された維持管理プロジェクトに関する詳細は、ここで見ることができる。
IASBには、OECD税制改革に関連したIFRS for SMEs会計基準の考え得る修正を検討する別個のプロジェクトがある。
IFRS Digital購読者及びIFRS Digital and Print購読者は、IFRS会計基準ナビゲーター及び「国際的な税制改革 ― 第2の柱モデルルール」のプロジェクト・ページから文書をダウンロードできる。IFRS Digital and Print購読者には、文書の印刷版が送付され、印刷版はウェブショップから注文することもできる。この修正は2024年3月にIAS第12号に統合され、その時点で無料のウェブサイト登録で利用者に入手可能となる。
以 上