ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが金融危機期の貸付金に係る損失の会計処理の改革について予定していたレビューを開始

2023年5月30日

国際会計基準審議会(IASB)は、5月30日に、IFRS第9号「金融商品」における予想信用損失の要求事項の適用後レビューに関しての利害関係者のフィードバックの募集を開始した

IFRS第9号は、国際金融危機に対応して、貸付金に係る損失のより適時な認識及び将来予測的な減損モデルを求めたG20及び他の団体からの要望を受けて開発された。

IFRS第9号における「予想信用損失」モデルは、従前の「発生信用損失」モデル(信用損失を認識することを損失事象の発生時にしか認めていなかった)に取って代わった。発生信用損失モデルでは、可能性のある将来の信用損失事象の影響は、たとえ予想された場合であっても、考慮されなかった。

IFRS第9号の要求事項の主要な目的は、企業の予想信用損失に関してのより有用な情報を投資者に提供することである。当該会計基準書は、金融資産の存続期間の全体を通じて、関連性のある利用可能な情報に基づいて企業が予想する損失を織り込んで、予想信用損失を認識し更新することを企業に要求している。したがって、投資者は予想信用損失に関するより適時な情報を受け取る。

開示は投資者に予想信用損失に関して必要とする情報を提供する上で重要な役割を果たす。このため、IASBは、今回の適用後レビューにおいてIFRS第7号「金融商品:開示」における関連する開示要求についても利害関係者のフィードバックを求めている。

アンドレアス・バーコウIASB議長は次のように述べた。

「IFRS第9号における予想信用損失モデルは、国際金融危機へのIASBの主要な対応となっていた。これを導入することは銀行や他の企業にとって大きな取組みであった。初期的なフィードバックでは、このモデルはcovid-19パンデミックの間にうまく機能したと示唆されているが、我々は、要求事項が意図したどおりに機能し続けているかどうかを評価するのに役立てるため、世界中の利害関係者からのフィードバックを求めている。」

IASBは、すべての主要な新しい会計処理の要求事項についての適用後レビューを、企業がそれらを少なくとも2年間適用した後に実施する。

IFRS第9号のレビューは3つの部分に分けて実施されている。第1の部分は、分類及び測定の要求事項を対象としたもので、2022年12月に完了した。現在のレビューは第2の部分であり、減損の要求事項を対象としている。最後の部分は、ヘッジ会計が対象となり、これから後の段階で行われる。

情報要請「IFRS第9号の適用後レビュー ― 減損」は、2023年9月27日までコメントを求めるために公開される

以 上


情報要請「IFRS第9号の適用後レビュー ― 減損」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

情報要請「IFRS第9号の適用後レビュー ― 減損」