SSBJ サステナビリティ基準委員会

ISSBが、サステナビリティ開示の包括的なグローバル・ベースラインを策定することを提案

2022年3月31日

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、COP26において資本市場向けのサステナビリティ開示の包括的なグローバル・ベースラインを開発するために設立されたが、本日、最初の2つの基準書案に関する公開協議を開始した。1つは、全般的なサステナビリティ関連開示の要求事項を定めており、もう1つは、気候関連開示の要求事項を定めている。

本提案(公開草案)は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、SASBスタンダードから派生した産業別開示の要求事項を取り入れたものである。

ISSBが最終的な要求事項を公表した時点で、これらの要求事項は、投資家が企業価値を評価する際の情報ニーズを満たすように設計されたサステナビリティ開示の包括的なグローバル・ベースラインを形成することになる。ISSBは、グローバル・ベースラインを各法域の要求事項に取り込むことを支援するため、他の国際機関や各法域と緊密に連携している。

ISSBは、2022年7月29日を期限とする120日間の公開協議期間を通じて、本提案に関するフィードバックを求めている。2022年後半に本提案に関するフィードバックを検討し、フィードバックに応じて、2022年末までに新しい基準を公表することを目指している。

本提案は、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する企業からの情報の改善を求めるG20首脳や証券監督者国際機構(IOSCO)などからの要請を受けて開発されたものである。本提案は、投資家が企業の企業価値を評価するために必要な、企業の重大なサステナビリティ関連のリスク及び機会に関する重要性がある情報の開示に係る要求事項を定めている。

本年終盤に、ISSB は基準設定の優先順位について公開協議を行う予定である。この公開協議では、企業価値を評価する際の投資家のサステナビリティ関連情報のニーズや、幅広いサステナビリティ事項を扱うSASBスタンダードに基づく産業別要求事項の追加的な開発に関するフィードバックを求めることを含む予定されている。また、ISSBは本日、SASBスタンダードと産業別の基準設定プロセスをどのように基礎としていくかに関する計画に着手した。

エマニュエル・ファベールISSB議長は次のように述べた。

「政府、政策立案者及び民間部門が共通の目的のために一致することはめったにない。しかし、資本市場にとって、高品質でグローバルに比較可能なサステナビリティ情報が重要であるという点については、全員が同意している。本提案は、どのような情報を、どこで、どのように開示すべきかを定義するものである。今こそ、この提案に参画し、コメントしていただきたい。」

アシュレー・オルダーIOSCO議長は次のように述べた。

「IOSCOは、ISSBの2つのIFRSサステナビリティ開示基準書案の公表を歓迎する。我々は、加盟メンバー法域による使用を承認することを目的として、本提案を検討する。IOSCOによる承認は、世界中で当該基準書が採用される道を拓き、資本市場が切望するサステナビリティ関連情報の一貫性及び比較可能性を提供することができる。」

メアリー・シャピロTCFD事務局長は次のように述べた。

「TCFDのフレームワークを基礎とすることで、ISSBの気候に関する提案は、投資家がより多くの情報に基づく財務上の意思決定を行うことができるよう、気候に関する開示にさらに一貫性、比較可能性及び信頼性をもたらすだろう。私は、気候変動の財務的影響に関する一層の透明性をもたらすであろうISSBの取組みを歓迎し支持する。」

ISSBの提案は、気候変動開示基準委員会、国際会計基準審議会、価値報告財団(統合報告及びSASBスタンダードを提供)、TCFD及び世界経済フォーラムの取組みを基礎としている。

IFRSサステナビリティ開示基準の開発は、IFRS会計基準の開発において用いられるデュー・プロセスと同様に、包括的で透明性のあるデュー・プロセスに従って行われる。IFRS財団の定款で要求されているように、IFRS財団評議員会のデュー・プロセス監督委員会は、ISSBの定足数を満たす前に本公開草案を公表するというISSB議長及び副議長による決定を監督した。

IFRSのサステナビリティ開示基準は、グローバル・ベースラインを提供し、より幅広い利害関係者の情報ニーズを満たすことを意図したものを含め、法域固有の要求事項と両立可能であることを意図している。したがって、利害関係者は、ISSBの提案にコメントすることに加え、サステナビリティ報告に関して各法域で行われている他の関連する公開協議に対応することが推奨される。

タクソノミ

「IFRSサステナビリティ開示タクソノミ」の最初の提案は、企業のサステナビリティ開示の構造化された電子タグ付けを可能にするものであり、間もなく公表される予定である。

ウェビナー

本提案は、4月28日午前9時と午後5時(英国夏時間)に開催される2つのライブ・ウェビナーで説明される予定である。登録方法は近日中にお知らせする。

アクセス

       公開草案の原文、日本語仮訳、解説資料及び解説動画はこちら

追加情報

  • 公開草案IFRS S1「サステナビリティ関連財務情報開示に関する全般的要求事項」は、サステナビリティに関連するすべての重大なリスク及び機会について、サステナビリティ関連財務情報を開示する全体的な要求事項を提示しており、市場にサステナビリティ関連財務情報の完全なセットを提供する。
  • また、公開草案IFRS S1は、IFRSのサステナビリティ開示基準が対応していないサステナビリティに関連するリスク及び機会について、SASB基準の開示項目や、水や生物多様性関連の開示のためのCDSBフレームワーク適用指針を使って、適切な開示を特定し開発する方法についてのガイダンスを提供する。
  • 公開草案IFRS S2「気候関連開示」は、気候関連財務情報の識別、測定及び開示に関する具体的な要求事項を定めている。
  • 企業価値とは、企業の自己資本と純有利子負債の時価を合計したものである。企業価値の評価に関連し得る情報は、財務諸表で報告される情報よりも幅広いものである。その情報には、人々、地球、経済への企業の影響及び依存に関する情報も含まれる。
  • 本提案は、技術的準備ワーキング・グループ(TRWG)が作成したプロトタイプを基礎として作成されている。TRWGは、当時提案されていた新しい審議会に提言を行うため、2021年3月にIFRS財団評議員会により設立された。TRWGの任務とメンバーに関する詳細な情報へのアクセスはこちら

以 上