ASBJ 企業会計基準委員会

第4回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2001年11月16日(金) 10時00分~12時20分
場所 (財)財務会計基準機構会議室

議題

審議事項

  1. テーマ協議会提案への対応について
  2. 当委員会が開発する会計基準等の公表形式について
  3. 新年金法対応専門委員会の設置について
  4. 自己株式等専門委員会における議論について

報告事項

  1. 商法等改正に伴う会計処理に関するプロジェクトの立上げについて
  2. 「退職給付会計」に関する共同プロジェクトの進行状況について
    (日本公認会計士協会 会計制度委員会報告の公開草案の骨子)
  3. IASB理事会及び基準諮問会議(SAC)の報告

議事概要

1. テーマ協議会提案への対応について
  • テーマ協議会の提言書の内容について、都常勤委員より説明がなされた(提言書の内容についてはテーマ協議会提言書をご参照いただきたい。)。これは、去る11月1日(木)に開催されたテーマ協議会において、当委員会が取り扱うべきテーマについて提言書の形で取りまとめられたものであり、11月12日(月)に斎藤委員長宛て提出されている。
  • 引き続いて都常勤委員より、同協議会の提言に対する当委員会の対応案について以下のような説明がなされた。

(1)短期的なレベル1テーマ(提言のうち比較的優先順位の高いグループ)

  1. 自己株式の取得・処分等に関する会計処理
  2. 連結納税制度の導入に伴う会計上の取扱い
  3. 退職給付制度に関する会計上の取扱い
    上記3件については、緊急性を要することから、既に検討を開始しており、当該活動をさらに積極的に推進していく。
  4. 減損会計に関する実務指針
  5. 企業結合会計に関する実務指針
    上記2件については当該会計基準の円滑な適用に向けて、企業会計審議会の動向等を踏まえ、プロジェクトチームを編成し検討を開始する。
  6. 固定資産会計(除く減損会計)
    プロジェクトチームを編成し、内外実務の実態を把握するとともに、論点の洗い出し・確認を行った上で検討を開始する。
  7. ストック・オプションの会計処理
    今般の商法一部改正において新株予約権が制度化されたこと及び国際的な動向を踏まえ、プロジェクトチームを編成し、論点の洗い出し・確認を行った上で検討を開始する。
  8. リース取引の会計処理
    プロジェクトチームを編成し検討を開始する。

(2)中長期的なレベル1テーマ

  1. 業績の測定と報告、開示様式(収益の認識及び測定を含む)
    国際的な動向を踏まえ、プロジェクトチームを編成し、研究を開始することとしたい。
  2. 基本概念の整理
    あらゆるテーマに関連し、多くの検討組織に関わることから、プロジェクトチームを編成し、幅広く研究を開始することとしたい。
  3. 会計基準の棚卸
    プロジェクトチームを編成し、早期に棚卸を開始することとしたい。 なお、これらの他四半期開示の研究等、様々な調査・研究活動を積極的に行っていくこととする。
  • 審議の結果、とりあえずレベル1と位置付けられたテーマ群については、今後専門委員会、プロジェクトチーム等の体制を整え、スケジュールの目処をつけて検討を進めることとし、それ以外のグループ(レベル2)及び他の法制度との調整が必要なテーマ案については、経済や法制度の動向を注視しつつ適宜対応を行うということで了承された。その際の各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「固定資産会計を検討するに当たって、わが国では税法基準が広く浸透しているので、税と会計との関係をどう考えるかは避けて通れない重要な問題である。」
    「中長期的なテーマの中には、現在IASBで積極的に検討が進められているようなテーマも入っているので、それへの対応の観点からも検討は早目にスタートすべきである。」
    「中長期的なテーマについては、すぐに結論が出なくても、例えば1年に1回くらい検討状況についての中間発表をした方がいい。」
2. 当委員会が開発する会計基準等の公表形式について
  • 山田常勤委員より、当委員会が開発する会計基準等の公表形式の案についての説明があった。これは当委員会が開発する基準等の体系、公表形式及びその名称について検討したものである。内容は以下の通り。

    〔公表形式について〕
    当委員会が企業会計の基準及びその実務上の取扱いに関する指針(以下、会計基準等という)を開発し、一般に公表するに当たっては、一定の秩序に則り、かつその公表形式についても利用者にとって使いやすいものとなるよう配慮することが適当と考えられる。
    そこで公表する会計基準等の内容に応じて、1.会計基準に相当するもの、2.実務指針に相当するもの及び基準導入時の疑問に答えるもの、3.緊急性を要するが実務上の対応や基準がないものについての当面の取り扱い、基準策定の一定期間経過後に追加的に作成される実務上の取り扱い及び制度変更に伴い解釈の確認・留意点を提供するものの3つのカテゴリーに区分し、各区分毎に順に通し番号を付して公表していくこととする。また、一部改正については元の番号を変えずに改正後の全文を示した上で改正履歴を記載し、全面改正の場合は新たな番号を付して、旧番号のものは欠番とする。

  • 上記説明を受け、審議の結果、体系及び公表形式については同案通り了承されたが、会計基準等の具体的な名称については、引き続き検討していくこととされた。その際の各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「従来日本公認会計士協会が出していた実務指針等と、今後この委員会の作成する会計基準等との関係について、財務諸表作成者・利用者の双方に混乱が生じないように、両者の位置付けを明らかにし、公表する等何らかの対応が必要ではないか。」

3. 新年金法対応専門委員会の設置について
  • 西川副委員長より、新年金法対応専門委員会の設置趣旨及び今後の同専門委員会の進め方等について説明がなされた。これは、当委員会と日本公認会計士協会との「『退職給付会計』に関する共同プロジェクト」を、当委員会の「新年金法対応専門委員会」として位置付け、今後の検討・審議を進めていこうというものである。説明の内容等は以下の通り。

(1)従前の共同プロジェクトにおいて検討されてきた主な論点

  1. 厚生年金基金の代行部分返上に関する会計処理
  2. その他の企業年金制度間移行の会計処理
  3. 企業年金制度の「清算」及び「縮小」に関する会計処理

このうち、経済界より早急に対応方要望のあった1.については、日本公認会計士協会の「退職給付会計に関する実務指針」の改正として進めることとし、2.3は今回当委員会内に新設する「新年金法対応専門委員会」において対応する。

(2)今後のスケジュール(案)

  1. 公開草案中間報告 12月18日(企業会計基準委員会)
  2. 公開草案承認 12月25日(企業会計基準委員会)
  3. 公開草案公表 12月26日
  4. パブリックコメント締切 1月15日
  5. 最終公表物承認 1月29日(企業会計基準委員会)
  6. 最終公表物公表 1月31日
  • 続いて、上述の日本公認会計士協会「退職給付会計に関する実務指針」の改正の内容について、秋葉専門研究員より報告がなされた(報告事項(2))。
  • 上記説明・報告を受けて、斎藤委員長より、新年金法対応専門委員会の設置について提案がなされ、審議の上、了承された。その際の各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「産業界にとって重要なこれらの問題については、やはり当委員会が主体的に参画してまとめていく方がよいと思う。」
4. 自己株式等専門委員会における議論について
  • 小賀坂専門研究員より、10月30日(火)及び11月13日(火)に開催された第2回・第3回自己株式等専門委員会における、自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計処理等の審議状況についての報告がなされ、意見交換が行われた。
5. 商法等改正に伴う会計処理に関するプロジェクトの立上げについて
  • 都常勤委員より、商法等改正に伴う会計処理に関するプロジェクトの立上げについて報告があり、質疑応答が行われた。これは、去る10月5日に国会提出された商法改正案について、金融商品の会計基準等の解釈等に関し、新株予約権付社債やストック・オプション等の実務上の取扱いに対応する必要があることから、その前準備として論点の整理等の作業を行うことを目的とするものである。
6. IASB理事会及び基準諮問会議(SAC)の報告
  • 10月18~20日に開催された第6回のIASB会議の内容について、山田辰己オブザーバー(IASB理事)より報告があった。続いてIASB会議に先立ち10月16~17日に開催されたIASB基準諮問会議(SAC)の内容について、同会議に同行した樋口専門研究員より報告が行われ、質疑応答がなされた。

以上