ASBJ 企業会計基準委員会

第9回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2002年2月15日(金) 10時00分~12時15分
場所 (財)財務会計基準機構会議室

議題

審議事項

  1. 企業会計基準「自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計基準(案)」等について
  2. 実務対応報告公開草案「退職給付制度間の移行等に関する会計処理の取扱いについて(案)」について

報告事項

  1. IASBリエゾン国会議出席報告
  2. IASB理事会の報告
  3. 第5回国際対応専門委員会の議事概要について
  4. 第2回テーマ協議会について

議事概要

1. 企業会計基準「自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計基準(案)」等について
  • 小賀坂専門研究員より、最終的に公表する「自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計基準」、「自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計基準適用指針」及び「その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の会計処理」の原案についての説明がなされ、審議が行われた。
  • 審議の後、採決が行われ、細かい字句等の修正に関しては委員長に一任の上、会計基準案及び適用指針案について出席委員13名全員の賛成により正式承認された。
  • 同会計基準及び適用指針の内容については、「企業会計基準第1号 自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計基準」等の公表をご参照いただきたい。
  • 本件審議に際しての各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「この基準では資本剰余金と利益剰余金の区分について定めているが、今後は、従来連結剰余金に含まれていた資本性の剰余金を資本剰余金に区分することを意図しているか。」
    「中間期における開示に関する経過措置が認められているが、本当にこのような経過措置が必要か。必要ないのではないか。」
    「自己株式処分差損については、その他資本剰余金の残高を上回った場合は、資本剰余金のマイナスとはせずに未処分利益を減額することとしているが、その論拠がわかりづらい。」
2. 実務対応報告公開草案「退職給付制度間の移行等に関する会計処理の取扱いについて(案)」について
  • 本件は、企業会計基準適用指針第1号「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」に関連して、制度終了の認識時点等について実務対応専門委員会で検討を行っているものである。
  • 秋葉専門研究員より同専門委員会における現在の検討状況についての説明がなされ、質疑応答・意見交換が行われた。
  • 本件審議に際しての各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「確定拠出型の退職給付制度に関する費用は、退職給付費用とされているが、これは現在の退職給付に関する注記に追加することを検討しているのか。そうであれば、注記の内容等整理する必要がある。」
    「代行返上についての労使合意が当期中に済んでおり、その認可もほとんど下りるのが確実で、従って全部見積り可能だという時は損失が合理的に見積もれるような状況と考えられる。その場合には、一般的な引当金会計のルールで損失処理をすることについては否定する論理はないと思うが、この退職給付会計に係るコストの認識に関しては引当金会計とは別だとしているのか。」
    「現在の退職給付会計基準は確定給付型だけを対象にしているから、その観点からいくとこの実務対応報告はどういう位置付けになるのか。」
3. IASBリエゾン国会議出席報告、IASB理事会の報告並びに第5回国際対応専門委員会の議事概要について
  • 西川副委員長より、先月21、22日にロンドンで開催されたIASBリエゾン国会議の出席報告がなされた。そして、山田辰己オブザーバーが欠席のため、代理で西川副委員長が1月のIASB理事会についての報告を行った。引き続いて同副委員長より、2月12日に開催された第5回国際対応専門委員会の議事概要についての報告がなされ、それぞれ質疑応答が行われた。
4. 第2回テーマ協議会についての報告
  • 都常勤委員より、去る1月31日に開催された第2回テーマ協議会における意見交換等の内容につき報告がなされ、質疑応答が行われた。本件報告の内容については、第2回 テーマ協議会の議事概要についてをご参照いただきたい。
  • 本件報告に際しての各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「我々委員の意見や議論の全体的な流れ、スケジュール等について、テーマ協議会のメンバーとこの委員会のメンバーとの対話の機会を充分に持つようにすべきではないか。」
    「特別目的会社(SPC、SPE)の連結の問題については、現在アメリカでも見直しを行っている。現在、日本でも特定の条件を満たした特別目的会社は連結の範囲外にできるとされているが、日本は日本独自の考え方があるとは思うが、この辺を今後注意して見ていく必要があるのではないか。」
    「SPC、SPEの連結問題の中では、SPCが設立され、資産の譲渡なしに最初からオフバランスになるケースがある。このケースは今どの基準でも正確にはカバーされていないと思う。実務的にも会計処理を決めるニーズがあると思うので、その辺の検討はやはり必要だろう。」

以上