ASBJ 企業会計基準委員会

第10回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2002年2月26日(金) 10時00分~12時10分
場所 (財)財務会計基準機構会議室

議題

審議事項

  1. 来期事業計画(案)及び予算(案)について(非公開)
  2. 実務対応報告公開草案「退職給付制度間の移行等に関する会計処理の取扱いについて(案)」について

議事概要

1. 来期事業計画(案)及び予算(案)について(非公開)
  • 山田常勤委員より、当委員会の来期事業計画(案)及び予算(案)についての説明がなされ、審議の結果、承認された。
2. 実務対応報告公開草案「退職給付制度間の移行等に関する会計処理の取扱いについて(案)」について
  • 秋葉専門研究員より、本件公開草案の内容等の説明がなされ、質疑応答・意見交換が行われた。これは、去る1月31日に公表された企業会計基準適用指針第1号「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」に関連して、退職給付制度終了の認識時点等につき、実務対応報告として公表すべく、実務対応専門委員会で検討を行っているものである。
  • 審議の後、採決が行われ、細かい字句等の修正に関しては委員長に一任の上、公開草案の公表並びにその公表期限を3月18日までとすることについて、出席委員11名全員の賛成により承認された。
  • 同公開草案の内容については、実務対応報告公開草案第2号「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い(案)」の公表をご参照いただきたい。
  • 本件審議に際しての各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「併せ給付で終了損益を計上する場合、その部分に対応する権利義務というのは新たに発生した退職給付制度における年金資産と退職給付債務ということになるが、これについては当然何らかの注記をする必要がある。」
    「退職給付制度間の移行又は制度の改訂に際して引当金に類する処理を要するという規定は、期末までに退職給付制度の廃止を決定するが、実際の打ち切り日が翌期に来るケースであるということをもう少しはっきりさせたほうがいい。」
    「基本的には退職給付会計というのはP/Lを決める会計だと理解している。退職給付費用の測定は通常のケースは期首に決まって1年間変わらないという考え方であるが、改訂日と施行日でかなり費用構成が変わってしまうから、費用の計上基準は変えるのだろうと思うが、おそらく改訂とか終了とかいうのは、実務指針の中でもカバーされていない。例えば施行日が決算日後に到来した時に、その年度の退職給付費用はどのように計上するかというような問題があるのではないか。」
    「厚生年金基金の代行返上は、終了に含まれるという理解でよいか。」
    「この草案では、認可日が非常に重要な意味を持っている。確かにそこが計算の基準になるからであるが、実際の厚生年金基金の運用の実態からすると、規程の改訂についての労使合意が当期中に終了し、その後申請が行われたが、法律上の認可が例えば翌期の監査終了前に終わっているといったような状況が整えば、引当金に類する処理の要件を満たすと考えられるのではないか。代行返上に関しては認可の日をもってできるとされたが、実際は労使合意の時点で認可が下りることを織り込んで計算しているから、現場の感覚からすると実質的な観点で考えるべきだと思う。元々加算部分というのは社会保障なのに企業が事実上運営母体としての責任を負っているとしてB/Sに載せるという会計基準ができたのだから、それと同じように実質的な観点で考えるべきではないか。」
    「企業買収あるいは再編の過程で、被買収側の労働関係債務を削減するという計画の下にその対価が決められるのが実態だろう。従って、企業結合会計はまだ検討中の段階ではあるが、そこでパーチェス法において計上すべき負債とされるものの中に、ここで我々が議論している退職給付関連の引当金等がどのように規定されるのか。引当金の計上要件というのは、本来的には同じ次元だとはと思うが、一寸悩ましい問題が絡んでいるという意識を持っている。」
    「ディスクロージャー(注記)について、確定拠出年金の費用は退職給付費用として定義するとされているが、これは今回の年金法によって定義されているものだけをいっているのか。そうではなくて中小企業の共済制度の拠出金とかそういうものに関する費用等も退職給付費用の中に含めることまで含意されているのか。」

以上