ASBJ 企業会計基準委員会

第11回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2002年3月15日(金) 10時00分~12時10分
場所 (財)財務会計基準機構会議室

議題

審議事項

  1. 委員会開催予定日(案)について(非公開)
  2. 中小会社会計実務調査研究について(非公開)
  3. 実務対応報告公開草案第1号「新株予約権及び新株予約権付社債に関する会計処理(案)」に対するコメントへの対応について

報告事項

  1. 基準諮問会議(SAC)の報告
  2. 平成13年度商法改正等に伴う「商法施行規則」制定(省令案)に対する意見について

議事概要

1. 実務対応報告公開草案第1号「新株予約権及び新株予約権付社債に関する会計処理(案)」に対するコメントへの対応について
  • 上田専門研究員より、実務対応専門委員会における本件公開草案(内容については「実務対応報告公開草案第1号 新株予約権及び新株予約権付社債に関する会計処理(案)」の公表参照。)に係るパブリック・コメントの内容分析及びそれに対する検討状況について報告があり、質疑応答・意見交換が行われた。
  • 本件審議に際しての各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「この案では、従来の転換社債と同じ商品性を持つ新株予約権付社債について、全体の発行価額を100とした場合に新株予約権を0、社債を100とするものであるとするような考え方を採っているが、ストックオプションに関しては株主総会の決議が必要となる可能性があるのに、新株予約権の価額を0と決議した場合は、本当に有利発行に当たらないのか。確かに発行する際にいろいろな条件で有利かどうか判断するということになっているけれども、新株予約権の価額自体が0なのに、本当にそれが有利発行でないと言えるのか。それに今回、新株予約権を公正価値で測るとしているのに、時間的価値も含めた公正価値が0というのもいかにもおかしい。」
    (→これに対しては、総会で新株予約権を0、社債を100とする決議がなされたとしても、発行価額が明らかに経済的に合理性に欠けるものであれば会計上は新株予約権の価値を当然に認めて処理するべきで、発行価額の比率で処理することは適切でないという意味で記載したものであるとの回答がなされた。)
    「代用払込の請求があったとみなす新株予約権付社債の会計処理に関して、経済的実質が従来の転換社債と同じでも消却事由を決議していない等の条件を満たさなければ、従来の転換社債と同じ処理は認めないとする旨を追加しているが、それを受けた会計処理のところには従来の転換社債と同じものの会計処理しか触れてない。新しい制度の下では一定の場合には転換社債と異なる非分離型のワラント債と同じようなものもあり得るということを付け加えたのだから、それに対応した会計処理も記載すべきではないか。」
    「平成14年4月1日前の決議に基づく転換社債の発行時における会計処理は従前の会計処理によるとしているが、これが何を意味しているのかちょっと明確でない。本来ここは4月1日以降に権利行使された場合の資本の部の会計処理まで前の方法でやるという意味ではないはずなのに、従前の会計処理という言い方をすると区分法、一括法の問題以外の会計処理までを含んでいるように見える。だからその辺をもう少し明確にする必要がある。」
    「ストックオプションの処理について、負債認識しないという結論をもう少しうまく説明できないだろうか。費用が認識されないため、結果として負債も認識されないということなんだが、もう少しうまい説明の仕方はできないものか。」
2. IASB基準諮問会議(SAC)の報告
  • 2月18、19日にロンドンで開催されたSAC会議の内容について、会議に同行した樋口専門研究員より報告が行われ、質疑応答がなされた。

3. 平成13年度商法改正等に伴う「商法施行規則」制定(省令案)に対する意見について
  • 先月法務省より公表された「商法施行規則」の省令案に対して、当委員会の名で法務省宛にパブリック・コメントを提出した件について、小賀坂専門研究員より報告がなされた。内容的には、先月当委員会が公表した自己株式等会計基準等との調整に関するものである。

4. その他
  • 1株当り利益の計算について、現在の日本公認会計士協会会計制度委員会研究資料第1号「潜在株式調整後1株当たり当期純利益の計算」を修正する必要が生じたため、当面実務対応専門委員会で検討したい旨報告があった。

以上