日時 |
2002年12月17日(火)13時30分~15時35分 |
場所 |
(財)財務会計基準機構 会議室 |
議題及び議事内容
リース取引に関する会計処理の検討
参考人からの意見聴取
[参考人]
- 渡辺 基彦氏(社団法人リース事業協会 会長)
- 小原 道郎氏(日本特殊陶業株式会社 取締役経営企画部長)
- 坂本 道美氏(新日本監査法人 代表社員)
- 弥永 真生氏(筑波大学大学院 教授)
渡辺参考人より、所有権移転外ファイナンス・リース取引の例外処理を存続すべきとの意見が説明された。
(主な内容)
- わが国リース産業は、その機能と役割が産業界に高く評価されているのみならず、物件処分など環境・省資源上も世界に誇れるものとなっている。
- 「賃貸借処理」は、わが国リース取引の実態に合致しており、「例外処理」というよりは「原則処理」として世界をリードすべきである。
- 見直し予定の国際基準にいまどき合致させること自体に問題があり、かつ、所有権移転外ファイナンス・リースだけ単独でなく、他の賃貸借関連取引との整合性の中で考えられなければならない。
- 「賃貸借処理」削除は、とりわけ税制に影響があり、日本経済に多大な影響を与える。
- 国際的なリース会計の動向と国内の実務慣行等を踏まえて検討されることを求める。
小原参考人より、ユーザーとしての立場からファイナンス・リース取引についての意見が説明された。
(主な内容)
- 企業会計上も税務上も一括して経費処理ができ、事務処理が軽減できること等にリースのメリットがある。
- オンバランス化により、厳格な固定資産管理が求められることとなれば、ユーザー企業の事務処理負担が増大することとなる。
- 税務の取扱いが連動して変更するようなことになれば、固定資産台帳作成・減価償却計算等の事務処理負担が増大するだけでなく、税負担も増大する懸念がある。
坂本参考人より、ファイナンス・リース取引について、借手においてオンバランスすべきとの意見が説明された。
(主な内容)
- 我が国の会計基準における資産・負債の定義は明確になっていないものの、近年作成された基準については、国際会計基準における資産・負債の定義と平仄を合わせて設定されていると考えられる。
- ファイナンス・リースの借手は、契約条件に従って、ほとんどの経済的便益を得る権利を得、経済的リスクの大部分を負担することとなる。
- ファイナンス・リースの借手においてリース物件を資産計上し、リース債務を負債計上することは、我が国の他の会計基準の資産・負債概念と整合するものである。
- 我が国の会計基準及びそれをとりまく環境は、いわゆる会計ビッグ・バン以降大きく変わっており、それ以前に作られたリース会計基準の例外処理は、現在の他の会計基準と整合するように改訂すべきである。
弥永参考人より、商法の専門家の立場からファイナンス・リース取引についての意見が説明された。
(主な内容)
- 動産の賃貸借においては、耐用年数があり、かつ、残存価格がゼロあるいは処分費用等の方が大きくなる可能性が十分にある場合には、合理的なレッサーであれば、フルペイアウトとなるリース料を設定するはずであり、それがファイナンス・リースかそうでない賃貸借かを分ける基準となるとは考えにくい。したがって、ファイナンス・リースであるか否かのメルクマールの設定は容易ではない。
- ファイナンス・リースの法的性質について、近年では金融的側面を重視する見解が多数となっているが、レッシーにはリース物件の所有権が帰属しないという点で、賃貸借契約としての意義を有する面があることも否定できない。
- リース債務は法律上の債務であり、また、リース資産は商法上の資産にあたることに争いはないので、オンバランスするのが原則であるが、一種の相殺表示が認められるかどうかは問題となり、「公正ナル会計慣行」または条理に照らして問題がなければ、結果的にオフバランスと同じ結果になる可能性がある。
以上