ASBJ 企業会計基準委員会

第48回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2004年1月13日(火) 13時30分~16時20分
場所 財務会計基準機構 会議室

議題

審議事項

  1. 役員賞与の会計処理について
  2. ストック・オプション専門委員会における検討状況について
  3. 不動産の売却に係る会計処理に関する論点の整理(案)について
  4. その他

報告事項

  1. IASB会議報告

議事概要

(1)役員賞与の会計処理について

冒頭、西川副委員長より、前々回の委員会以降の本件に関する経過説明(関係当局との商法解釈の確認等)があった。続いて、秋葉専門研究員より、役員賞与は株主総会の利益処分案決議によるものとする慣行があることから、費用処理を強制するには株主総会決議の位置付けの見直し等、引き続き検討を要するものの、現段階で結論が得られたものを実務対応報告として公表してはどうかとの事務局案について説明がなされた。その後、審議が行われ、その具体的な内容については一段の詰めを行った上で、早期に公開草案の議決を目指すこととされた。

審議における主な発言内容は以下のとおりである。

  • 会計上、費用処理したものを、株主総会に利益処分案として提出することは矛盾している。費用処理をした上で、役員報酬決議案として提出するコンセンサスを形成していくべきではないか。
  • 利益処分案として役員賞与の承認を得たいという経営者の意思を反映させることも認められるべきではないか。
  • 費用処理することと利益処分として未処分利益を直接減額することは、いわば事実の相違であって、連結上の会計処理の統一の対象とならないことを明確に示しておくべきではないか。
(2)ストック・オプション等専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び豊田専門研究員より、ストック・オプション等専門委員会における検討状況について説明がなされた。今回は、ストック・オプションに係る「費用認識の要否」に関する議論のうち、理屈の上で費用認識を行うことに根拠があるのか否か、あるとすればそれはどのような根拠かという点に焦点を絞って検討した結果、専門委員会では、理屈の上では費用認識に根拠があるという点で概ね一致した旨の説明があり、これを受けて審議が行われた。

審議における主な発言内容は以下のとおりである。

  • ストック・オプション会計を考える上で、商法との調整が必要との指摘があった。
  • 現物出資に触れられているが、現物出資は、ストック・オプションと同列に扱うことはできず、費用認識の根拠になり得ないのではないかという指摘があった。これに対しては、現物出資とストック・オプションを同視できるか否かを問題にしているわけではなく、費用認識を否定する論拠として主張されている見解(「新旧株主間の富の移転に過ぎないから費用認識に根拠がない」や、「現金その他の会社財産の流出を伴わないから費用認識に根拠がない」)に対する反証として、現物出資を受けた財にかかわる費用認識を挙げているに過ぎないとの説明があった。
  • ワラント債の会計処理との整合性を問題にしているように見えるが、ワラント債は金融商品であって、必ずしもストック・オプションと同列には論じられないのではないかという指摘があった。これに対しては、確かにワラント「債」は金融商品だが、現行の会計基準では、債券と切り離してワラントを認識しており、この処理と整合的な会計を考えようという提案であるとの説明があった。
  • 実際に働いているのに、ストック・オプションが失効した場合に費用を計上しないこととするのは、働いていないと擬制することでありおかしいのではないかとの指摘があった。これに対しては、このような場合にも費用認識は行うが、権利行使がない部分は結果として費用処理にならないので利益に戻ってしまうだけのことであるとの説明があった。
  • その他、ストック・オプション制度を実際に運用する上での問題、例えば制度の中途廃絶の取扱い等についても検討が必要であるとの指摘があった。制度の中途廃絶に関しては、そのようなことが許されるか否かはともかく、行われた場合には、ストック・オプションが失効した場合と同じことになるとの説明があった。
(3)不動産の売却に係る会計処理に関する論点の整理(案)について

本論点整理(案)については、前々回及び前回の委員会において、その概要及び専門委員会における検討状況の説明並びに質疑応答が行われたが、今回は、前回までの指摘事項への対応(修正等)について古内研究員から説明が行われ、これを受けて、論点整理(案)全体を対象として質疑応答が行われた。

(4)IAS改訂金融商品会計基準(IAS第32号/第39号)の公表に関する当委員会のコメントについて

西川副委員長より、IASB宛に企業会計基準委員会(ASBJ)名の標題文書を送付する件について趣旨説明がなされたのち、その具体的な内容について古内研究員から説明が行われた。(別掲「IAS改訂金融商品会計基準(IAS第32号/第39号)の公表に関する当委員会のコメント」ご参照)

(5)IASB会議報告

山田IASB理事より、12月のIASB会議の報告が行われた。

以上