ASBJ 企業会計基準委員会

第76回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2005年3月11日(火) 13時30分~16時00分
場所 財務会計基準機構 会議室

議題

審議事項

  1. 企業会計基準「『退職給付に係る会計基準』の一部改正」及び企業会計基準適用指針「『退職給付に係る会計基準』の一部改正に関する適用指針」について【公表議決】
  2. ストック・オプション等専門委員会の検討状況について
  3. 会社法対応専門委員会の設置について
  4. 中小会社企業会計の検討会の立ち上げについて

報告事項

  1. IASB会議報告
  2. SAC(IASB基準諮問会議)会議報告
  3. IASBとの共同プロジェクト初会合について

議事概要

1.企業会計基準「『退職給付に係る会計基準』の一部改正」及び企業会計基準適用指針「『退職給付に係る会計基準』の一部改正に関する適用指針」について【公表議決】

標記、会計基準及び適用指針の公表に関する審議が行われた。冒頭、西川副委員長より、本日の審議に関する概要説明がなされ、続いて、秋葉統括研究員より、本基準及び適用指針に関する原案についての概要説明がなされた。説明の後、審議・採決が行われ、最終的な字句等の修正については委員長に一任することを前提に、出席委員12名全員の賛成をもって、本基準及び適用指針を公表することが承認された。

(内容については、[企業会計基準第3号「『退職給付に係る会計基準』の一部改正」 企業会計基準適用指針第7号「『退職給付に係る会計基準』の一部改正に関する適用指針」の公表]をご覧下さい。)

2.ストック・オプション等専門委員会の検討状況について

西川副委員長及び豊田専門研究員より、ストック・オプション等専門委員会の検討状況ついて説明が行われた。説明では在外子会社が自社株式オプションを発行している場合の連結財務諸表上の取扱いについて説明がなされ、質疑応答が行われた。

なお、審議における主な発言は以下のとおりである。

  • 実務的側面から鑑みて、論点を複雑化しないほうがよいのではないか。例えば為替換算調整勘定をどの区分に表示するかという点についても、中間区分案や資本の部という案があるが、他との整合性も考えながら割り切ってしまってもいいのではないか。
  • 中間区分という案に関連して、その概念や性格に関する結論が貸借対照表表示検討委員会においてはっきりしていない段階で、様々なケーススタディーを試みても無理があるのではないか。
  • 重要性や実務上の配慮を勘案した上で日本の会計基準と異なっている現地会計基準を容認するという前提であるならば、為替換算レートをどうするかという限定した議論だけではなく、現地会計基準における処理日あるいは計上日も検討材料になってくるのではないか。
3.会社法対応専門委員会の設置について

西川副委員長より、会社法対応専門委員会の専門委員の選任(案)が提示され、了承された。なお、当該専門委員会では「株主持分変動計算書」等の検討を行うことが予定されており、専門委員会の立ち上げについては既に承認されていたものである。

なお、審議における主な発言は以下のとおりである。

  • 今年の夏頃を目途に公開草案を公表するというスケジュールに関連して、株主持分変動計算書については、貸借対照表表示検討委員会における検討次第で状況が変わってくるのではないか。
  • 利益処分案では圧縮記帳など税務の処理が一部存在していた関係で、関連当局と連携をとるという説明がなされたが、これらの部分まで対象にする必要があるのか。
4.中小会社企業会計の検討会立ち上げについて

石井委員より、中小企業会計について中小企業庁、日本税理士会連合会、日本会計士協会が共同事務局を新設してそれぞれの報告書を一本化する計画があること、ASBJにも参加要請がなされて、シングルスタンダードの考え方を基本に据えることが満たされれば、中期運営方針に従って参加する方向で検討していることの報告がなされた。なお、検討会については、上述の3団体等によって立ち上げられるものであり、当委員会内に設置されるものではない旨の報告もなされた。

5.IASB会議報告

川崎研究員より、2月(15~17日)に開催されたIASB会議の報告がなされた。

(内容については「IASB会議報告(第43回会議)」をご覧下さい。)

6.SAC(IASB基準諮問会議)会議報告

又邊研究員より、2月10日から11日にかけて開催されたIASBの基準諮問会議であるSAC会議の報告がなされた。

7.IASBとの共同プロジェクトの初会合について

西川副委員長より、IASBとの会計基準のコンバージェンスに向けた共同プロジェクトの初会合が9、10日の2日間行われ、本日(11日)プレスリリースされた旨の報告がなされた。初会合では、各々の概念フレームワークに対する意見交換が行われるとともに、ASBJから提案した第1フェーズでの検討項目事項を引き続き協議していくことが合意された。また、ASBJ独自で検討を進めているストックオプション等の項目について会計基準のコンバージェンスに資するものであることが認識された。

(内容については【プレスリリース】「企業会計基準委員会と国際会計審議会は会計基準のコンバージェンスに向けた共同プロジェクトの初会合を開催」をご覧下さい。)

以上