ASBJ 企業会計基準委員会

第81回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2005年5月27日(金) 13時30分~15時30分
場所 財務会計基準機構 会議室

議題

審議事項

  1. 貸借対照表表示検討専門委員会における検討状況について
  2. 企業結合・事業分離専門委員会(合同委員会)における検討状況について
  3. 会社法対応専門委員会における検討状況について
  4. 棚卸資産専門委員会の専門委員の選任について
  5. 関連当事者開示検討専門委員会(仮称)の設置について

報告事項

  1. CESR(欧州証券規制当局委員会)へのコメント
  2. 国際対応専門委員会の議事概要

議事概要

審議事項

(1)貸借対照表表示検討専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び秋葉統括研究員より、貸借対照表表示検討専門委員会における検討状況について説明が行われた。説明では、「貸借対照表の区分に関する会計基準(案)<仮称>」の文案並びに「貸借対照表の区分に関する会計基準等の適用指針(案)<仮称>」の文案を基に説明がなされ、意見交換が行われた。

審議における主な発言は以下のとおりである。

  • 基準(案)における純資産の部の区分について、為替換算調整勘定が税効果会計の対象となるとされる表記があるが、これは結果が差額であるということを踏まえると、為替換算調整勘定そのものが税効果会計の対象となるという表記は誤解を与えるのではないか。
  • 基準(案)の目的について、貸借対照表項目の認識及び消滅の認識、貸借対照表価額の算定などの会計処理については、原則として既存の会計基準によることとされているが、この「原則として」という表記については、より具体化したほうがよいのではないか。
(2)企業結合・事業分離専門委員会(合同委員会)における検討状況について

西川副委員長、秋葉統括研究員及び河本研究員より、企業結合・事業分離専門委員会(合同委員会)における検討状況の説明がなされた。今回は、分離元企業の会計処理について、事業分離等会計基準の公開草案に寄せられたコメントへの対応案並びに設例による具体的な会計処理により説明がなされ、意見交換が行われた。

これは主に、子会社に対する事業分離(共通支配下の取引)における分離元企業の会計処理に関して、受取対価が現金等の財産である場合、分離先企業の株式のみである場合、現金等の財産と分離先企業の株式である場合の3パターンが考えられているが、公開草案に寄せられたコメントの多くは、現金等の割合が「多くの割合」という判断基準の根拠が不明確であるという指摘に対処するためのものである。

(3)会社法対応専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び布施専門研究員より、会社法対応専門委員会における検討状況について説明が行われた。説明では、会社法案に基づいた論点整理並びに検討の方向性等が示された後、個別論点となる「株主資本変動計算書(仮称)」について具体的な説明がなされ、意見交換が行われた。

審議における主な発言は以下のとおりである。

  • 「株主資本変動計算書(仮称)」において記載すべき項目として、株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式)のほかに、その他包括利益累積額又は評価・換算差額(仮称)、新株予約権、少数株主持分を含めた全ての純資産項目を記載する案があるが、算出方法や記載内容、実務的な実態に対する配慮が勘案されているのかなど、検討の余地が多くあるのではないか。
  • 上述の案について、少数株主持分については、親会社説の場合は対象とすべきではないのではないか。親会社説、経済単一体説の場合の国際会計基準や米国会計基準の取扱いを別の論点として議論するべきではないか。
  • 利用者側では、包括利益に関する関心が高まっているという見方もあり、従って全ての純資産項目を記載する案を支持する意見が多いのではないか。
  • 純資産の変動あるいは増減にどのような価値があるのか不透明感は否めない。従って「株主資本変動計算書(仮称)」において何をどこまで開示するのか踏まえながら検討すべきではないか。
  • 連結において少数株主持分を記載する案について、増資や配当あるいは合併などで純資産が変化する要素が多数ある中、全部を精緻に求めると多大なコストがかかると考えられる。親会社説ということもあり残高が把握できればよいと考えられ、精緻に記載を求めなくてもよいのではないか。
  • 資本に絡むような取引の順序や、配列をどのようにするかなど、具体的な事柄については、作成者の判断に委ねてもよいのではないか。
(4)棚卸資産専門委員会の専門委員の選任について

石井委員より、棚卸資産専門委員会の専門委員の選任についての提案がなされ、了承された。なお当該専門委員会では、主に棚卸資産の評価基準に関する会計処理についての検討が予定されており、その設置については既に承認されていたものである。

(5)関連当事者開示検討専門委員会(仮称)の設置について

石井委員及び新井専門研究員より、「関連当事者の開示」は、当委員会とIASBとのコンバージェンス・プロジェクトの第1フェーズの検討項目となったことから、現行の日本基準、国際会計基準や米国基準との比較並びに日本企業の開示状況を踏まえながら、会計基準の整備を目的として専門委員会を設置することが提案され、了承された。

(6)CESR(欧州証券規制当局委員会)へのコメント

西川副委員長及び新井専門研究員より、CESRの日本基準の同等性助言案へのコメントについて報告がなされた。具体的には「IASBとの共同プロジェクトの状況」の説明を踏まえながら、補完措置の対象となった項目の会計基準が、IFRSとの差異に合理的な理由があるかについて、再検討を要請する旨の内容が報告された。なお、コメントについては本日付でCESRへ送付されることが確認された。

(内容については、「【プレスリリース】(仮訳)CESRの日本基準の同等性助言案へのコメント」をご覧下さい。)

(7)国際対応専門委員会の議事概要

 西川副委員長より、国際対応専門委員会の議事概要についての説明がなされた。

以上